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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「上谷沙弥、バカだなあ…」女子プロレス“非情な敗者引退マッチ”の結末は? 涙の中野たむが語る“意外な本音”「勝ったら、私にあと3年ください」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/04/19 17:10

4月27日、横浜アリーナで“敗者引退マッチ”に臨む中野たむ。大一番を前に心境を語った
「どっちか死ぬかもしれないですね」中野たむの覚悟
赤いベルトを奪われた12月29日の試合前には、「全部たむのせいだと言うんだったら、どんなことがあっても上谷だったら許せる。全部飲み込んでやる」と言っていた中野だが、改めて聞くとこう返してきた。
「私たちの美しかった白いベルトの記憶を無茶苦茶にしたことは許してない。憎いです。両国国技館で私をだまし討ちにして、上谷の腰に赤いベルト巻かせたことが憎いですよ。それから玖麗(さやか)に手を出そうとしたことも許せない。だから、引導を渡します。最後に上谷に一生のトラウマを植え付けて辞めさせてやります」
玖麗は中野にとって特別な存在だ。
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「玖麗、かわいいですよね。アイドル性すごいなあ。応援されるのがわかります。たむの後継者と言われてるんですが、たむにないものがある。中野たむは憎しみとか負の感情で戦ってきたけど、玖麗は天性のベビーフェイス。透明でまっすぐで純粋。私は陰、彼女は陽。たむは負の感情を表に出すことで応援されてきて、じつは長与千種よりダンプ松本寄りだと思っている。彼女は長与千種。さくらあやのほうが私寄りかな。ドロドロした感情で戦っているから」
そんなことを話しながらも、さまざまな感情が中野の頭の中を複雑に往来している。
「夢も、最近は上谷ばかり。ジュリアは出てこない。ずっと上谷と戦っている……。プロレスしてます。入場曲が鳴っているのにまだ着替えていなくて、一生懸命着替えていて。前も夢は見ましたけれど、こんなには見なかった。上谷ばかりが出てきて、ノイローゼになりそう。あれはどっちなんだろう? ある瞬間は今の上谷だったり、でも次の瞬間は昔の上谷だったり。出会ったばっかりの上谷、まだ何にも知らない頃の上谷、おかっぱ頭の上谷。かわいいなあ、と思ったら、次の瞬間、めちゃくちゃ汚いメイクしている上谷になっていたり。夢の色ですか? モノクロかもしれない。完全なモノクロというのではなく、色あせた感じもする。鮮やかではない。いろんな時代が交錯しているからなんでしょうか」
3.3の敗者退団マッチの注目度をはるかに超えるであろう4.27の敗者引退マッチ。激しい試合になることは間違いない。
「どっちか死ぬかもしれないですね。大ケガして、この体がどうなってもかまわない。その覚悟でプロレスを始めていますから」