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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
中日「4年連続最下位」危機から脱出なるか…25歳ブライト健太に感じる主砲の気配 思い出される高校時代の“片足ケンケン事件”ってナンだ?
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/18 06:01
打撃不振に悩む中日で期待が集まる4年目のブライト健太。高校時代にはまさかのエピソードが…?
大学4年生の秋、ドラフト前の思い出ばなし。なんとも天真爛漫……快活な笑顔が弾けていた。
「コールド負け寸前で、このまんまじゃ終われないじゃないですか」
負けらんないと言ったって、痛めた右足を浮かせて、両手でバットを握って構えるとグラグラするので、右手一本で構えて、いったいどうするつもりだったのか。
左足だけの「ケンケン」で一塁へ…⁉
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それでも投じられた半速球を右手で握ったバットで打って、打球はセカンドの前にコロコロ転がった。「さあ、どうするんだ」と思ったら、ブライト健太、左足だけのケンケンで一塁へ飛んでいったから、もうひっくり返るほど驚いた。
そして、ケンケンのブライト選手の一塁ベース駆け抜けが間一髪だったから、もう一度、ひっくり返った。
「なんとかしなきゃって気持ちだけだったですね。でも……」
ちょっと息を吐いた。
「あの場面を見てくれていた人がいたんですね! やっぱり、一生懸命やらないと、ダメですね」
今季のウエスタン・リーグ、ブライト健太と同期で入団したもう一人のスラッガー候補・鵜飼航丞も、ここまでの17試合で打率.339とリーグ2位の高打率をマーク。持ち前の長打力を、今のところの精度とどう両立させていくか。
現状、外野手3人が上位打線に座るハードルの高さは厳然と存在するが、「若い力」がチームの勢いを活気づけるのも、間違いなく現実であろう。
勝ったり、負けたり……いや、勝ったり、負けたり、負けたりなのに、バンテリンドームに詰めかける2万、3万のドラゴンズファンが、やっぱり負けても笑顔で帰路につけるような「先の楽しみのある中日ドラゴンズ」に。
もういいかげん、グラウンドの本人たちが、まず本気にならなくちゃいけないだろう。

