「陸上は年間通してシーズンなので…」なぜ実業団は青学大・原晋監督の“挑発”に乗らなかった？ 史上初の実業団vs大学レース…エキスポ駅伝ウラ話 

　青学大や駒澤大を破り4位と健闘した帝京大もまた、大エースの山中博生ら4年生を起用せず、新チームで臨んだ。現有戦力ではベストの布陣だったとはいえ、新主将の柴戸遼太や1万m28分台の藤本雄大、松井一といった主力を起用できなかった。この大会では最もサプライズに映ったかもしれないが、帝京大もまた最強メンバーではなかった。

原監督は「真剣なレースほど人を惹きつける」

　ベストオーダーで臨むのが難しいのはこの駅伝に限ったことではない。箱根駅伝やニューイヤー駅伝においても、指揮官の想定通りのオーダーだったチームは少ないくらいだ。それでも、時期が時期だけにEXPO EKIDENはとりわけ、各チームの最強布陣を築くのが難しかったように思う。

「スポーツというものは真剣なレースほど、人を惹きつけるものがあると思うんですよね。陸上界のトップランナーが、この実業団対大学の対抗戦に対して、強化と普及、この両方があるんだという認識を持って取り組んでいけたらなと思います。この1回だけで終わるんじゃなしにね、どんな形だろうと継続して、実業団対大学という対決を日本の長距離界の柱あるいは文化にし、駅伝を通して普及、強化をしてほしいと思いますね」

レース後「どんな形だろうと継続して」と語った原監督。言葉のウラには駅伝競技の人気向上を願う気持ちがある　©Nanae Suzuki

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　原監督がこんなことを話していたように、実業団と大学生のトップチームの対決は魅力的なコンテンツだ。それだけに、共に最強布陣の、本当の意味での“真剣なレース”が見てみたかった。

　今大会は1回限りの可能性が高いが、願わくば来年以降も続けてほしい。回数を重ねていけば、いずれは選手たちの目標とする大会として、年間スケジュールに組み込まれる時が来るかもしれない。