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「僕は生意気だったかと」休み返上シュート特訓…“W杯最速切符の原動力”FW小川航基を変えた青春の日々「ハチ君、イイっすか?」ジュビロ先輩GKに感謝
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/27 11:51

日本代表でゴールを奪う一方で、様々な思いを自らに持つ小川航基。そんな彼の土台になっているものとは
「あまり試合に出てない時などは、『休んでいる暇なんてないぞ!』と僕は考えていて、オフの日でもクラブハウスに行っていたんです。すると、いつもハチ君がいるんですよ。『じゃあ外に出て、一緒に練習しましょう』となることがよくありました。ただ、僕は生意気だったと思うんですよね。自分のシュート練習に、ベテランの選手を付き合わせるわけですから」
小川はそう振り返るのだが、プロ入りして数年目の小川が申し出たときでも、断られるようなことはほとんどなかった。むしろ、嫌な顔一つせず、こんな言葉をかけてくれた。
「俺にとっても良い練習になるから……」
今のシュートの質は、あの頃の練習が活きている
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チーム練習のない日であれば、1時間を優に超えてシュート練習に打ち込んだ。そのなかで、小川はよく尋ねていた。
「今のシュート、どうでしたか?」
すると、GK目線での意見をもらえた。サッカーはシュートの威力やスピードを競うスポーツではない。ゴールを決めるために求められるのは〈GKに止められないシュート〉を放つこと。あの経験は、プロレベルでストライカーとして活躍する礎を築いてくれた。
「けっこう長い時間やっていましたけど、スパルタ式にバンバンとシュートを打っていく感じではなく、ときには少し笑いも交えながらでした。『この位置でボールを持っているときには、どういうシュートが入りやすいか』など教えてもらったり、『ここで上の方を狙うのはどうですか?』と僕から聞いて、意見をもらったり……。
シュートの角度や威力、ボールの蹴り方など、トライ&エラーを繰り返して練習していました。今の自分のシュートの質は、あの頃の練習が活きているところがたくさんあります」
“忌まわしい記憶”とPKは運で決まるものではない
そこでふと、疑問がわく。小川にとっての“忌まわしい”記憶ともつながるのだが――PKの技術についてはどう考えているのだろうか。
「『PKは運で決まるものではない』と僕は思っているので……」〈つづく〉

