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マルケス無双! 開幕戦タイGPで予選・スプリント・決勝を完全制圧、早くも今季の王座確定か!? 小椋藍も決勝5位の大健闘 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2025/03/05 17:22

マルケス無双! 開幕戦タイGPで予選・スプリント・決勝を完全制圧、早くも今季の王座確定か!? 小椋藍も決勝5位の大健闘<Number Web> photograph by Satoshi Endo

「絶対王者」復活を予感させるパフォーマンスで開幕戦タイGPに勝利したマルケス

 スプリントでは終始バニャイアを追撃し、「最高のレース」と笑顔を浮かべた。その小椋に「ペッコ(バニャイアの愛称)は抜けなかった?」と聞けば、「一度だけ抜こうと思えば抜けたと思う。でも、それをやったらタイヤをオーバーヒートさせるし、4位ではゴールできなかったと思う。初めてのレースだったし、スプリント13周をいかに速く走るかに集中した」と初戦らしからぬ冷静なコメントを残した。

 そして決勝レースでのトップとの差は約7秒。スプリントも決勝レースもマルクの背中を見ることはなかったが、チャンピオン、もしくは優勝経験者の後ろを走ったことは貴重な経験となった。そして、ライバルはもちろん、関係者や世界のレースファンに「小椋藍」の名前が刻み込まれたはずだ。

「ウインターテストから予選が終わるまでひとりで走っていたので、決勝レースがどうなるか自分でもまったく予想がつかなかった。でもスプリントと決勝レース、合わせて39ラップをしっかり走り切れたことはすごく良かった。とにかく最後まで一瞬も気が抜けないし、ブレーキングに集中しなくてはいけなかった」

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 周回を重ねるにつれ刻々と変わるタイヤフィーリングの変化。ブレーキング時のタイヤロックにも細心の注意を払わないと一瞬のうちに転んでしまう。路面温度が60℃近い厳しいコンディションの中では「少しも緊張感を緩めることはできなかった」という。

21年ぶりの日本人ライダー優勝へ

 スプリントが終わったとき、小椋に「おめでとう。素晴らしいレースだったね」と言葉をかけると「『なんで抜かなかったんだ!』って言われると思ってましたよ」と笑った。翌日の決勝レースで「スプリントが4位だから、5位だとちょっと物足りないね」と言うと、「もう少しほめてくださいよ」と笑顔を見せた。

 小さい頃から、父・正治さんに教わってきたのは「しっかり準備をしておけ」という言葉。上位カテゴリーに進むため、小椋は常に「準備」をしてきた。Moto3クラスで世界に挑戦した2年目にチャンピオン争いに加わり、最終戦決着で3位に終わったときは「もうやるべきことはやった」とMoto2クラスへ。そして、Moto2チャンピオンを獲るのに4年の歳月を費やし、結果的にそれはMotoGPクラスに挑戦する準備になった。

 開幕戦を素晴らしいリザルトで終えた小椋藍。日本のレースファンにとっては、04年の玉田誠以来となる日本人ライダー優勝の準備が整ったことを感じさせるレースだった。

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