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マルケス無双! 開幕戦タイGPで予選・スプリント・決勝を完全制圧、早くも今季の王座確定か!? 小椋藍も決勝5位の大健闘
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遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2025/03/05 17:22

「絶対王者」復活を予感させるパフォーマンスで開幕戦タイGPに勝利したマルケス
そのマルクが最新型に乗った途端、予想をはるかに上回る強さと速さを見せた。いまのMotoGPクラスはマシンのパフォーマンスの差がリザルトに直結することを証明した格好だ。
ドゥカティのマシン開発のトップに立つジジ・ダッリーニャは、「ウインターテストでマルクは順調にセットアップを進め、バニャイアは苦戦していた」と両チャンピオンの開幕戦について語った。今季マルクが乗る25年型は、すでに名車と言われる24年型をベースにチューニングを施されたマシンだ。マルクがもっともこだわるブレーキングの安定性の高さが、コーナーリングと加速の良さにもつながったことは間違いない。
加えて、マルクがタイGPが開催されるチャーン・インターナショナル・サーキットを得意としていることも、ライダーとしての格の違いを見せつける理由になった。まだシーズンの結末を予想するのは早いかもしれないが、開幕戦を見る限り、今季はマルクの圧勝になるのではないかと思う。
最高峰クラス史上初の快挙
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そのマルクを追撃したアレックスは、ドゥカティに乗り換えて3年目のシーズン初戦で、マルクのチームメートのバニャイアを凌ぐ素晴らしい走りを見せた。そもそもMoto3、Moto2とタイトルを獲得してきた素晴らしいライダーだが、マルクの前ではただのライダーになってしまう。兄を目標に常に全力を尽くしてきた頑張り屋のアレックスが2位になり、最高峰クラス史上初の兄弟1−2フィニッシュという偉業を達成することになった。
マルケス兄弟に予選、スプリント、決勝レースいずれも後塵を拝したバニャイアは、さすがに悔しさを隠さなかった。いつもならトップ3がインタビューを受けるパルクフェルメで母国イタリアのカメラマンたちに手を振るなど、なんらかのアクションを見せるのだが、今回は完全に無視。いつも冷静でクールなバニャイアらしく、静かに悔しさを噛みしめていた。
スプリントでは、ドゥカティ勢3人に続いてルーキー小椋藍が4位でフィニッシュ。決勝レースはやはりドゥカティのフランコ・モルビデリの後塵を拝し5位でフィニッシュしたが、小椋はトップグループ5台のしんがりを走り続け、この先も速いドゥカティ勢と戦っていけそうな印象を残した。