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中谷潤人の“エグい連打”で顔がゆがみ「23歳クエジャルの今後が心配」決定的瞬間を撮影…世界的カメラマンが語る「井上尚弥とは違う」中谷の特殊能力とは
text by
福田直樹Naoki Fukuda
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/03/05 12:00
衝撃的なKOを量産するWBC世界バンタム級王者の中谷潤人。リングサイドで決定的瞬間を撮影した福田直樹氏が、中谷のすごみを語った
クエジャルの顔がゆがんだ決定的瞬間
実際、2ラウンド以降はクエジャル選手も前に出てきました。気持ちが強いし、本当に勝ちにきている感じでしたね。至近距離での打ち合いも、普段の中谷選手ならアッパーなどで迎撃しそうなところを、向こうの身長や攻撃力を警戒してなのか、クリンチでやり過ごす場面もありました。
中谷選手がペースを握っていたとはいえ、2ラウンドが終わっても、正直「すぐに終わる」とは思えませんでした。本当のクリーンヒットはなかったですし、まだまだクエジャル選手も耐えられそうだった。3ラウンドのあのダウンシーンまで、KOの予感はありませんでした。
唐突に訪れたダウンの場面は、左ボディのあと、ワンテンポおいて右ボディ、さらに左のボディが入った。そこからの中谷選手の“詰め”の鋭さ、パンチの選択の正確さはあらためて驚きでしたね。間髪入れずに打ち下ろしの右を入れて、さらに左フック、右フックとつないでいく。連続写真で撮れたのが、この右フックです。クエジャル選手の顔を見ると、まったく反応できず、被弾していることにも気付いていないのがわかると思います。
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さらにすごいと思ったのが、そこからの左ボディストレート。これにもクエジャル選手はまったく反応できていなかった。タイミング、深さ、すべてが完璧です。あの右フックのあとにこのボディが来たらたまらないですよね。角度的に背中側だったこともあるのですが、ここで「決まった」と思って連写を止めたほどでした。
無敗の勢いと若さでなんとか立ってきたクエジャル選手ですが、最後のフィニッシュはまさに無慈悲でしたね。ボディが効いていたのか、一気に来るとは思っていなかったのか、完全に無防備になった顔に左のロングフック。決めにかかったときの中谷選手の精度はやはりすさまじい。あそこで正確に左を入れられるボクサーはなかなかいません。先の展開を予想するまでもなく、本当に一瞬で終わってしまいました。
敗れたクエジャル選手からすれば、今後に向けて大きなダメージがあったかもしれません。ダウン経験すらなかったのに、心が折られるような倒され方をして……。本気で勝つつもりで乗り込んできていたでしょうし、公開練習や計量でのイキイキとした姿を見ていたので、彼がここから立ち直れるのかも気になるところです。
