日本で初めてブーイングを浴びたプロレスラーとは？ ファンから“否定された”ジャンボ鶴田が「完全無欠のエース」になった理由

　2025年のプロレス界は、年始から「ブーイング」が話題となった。

　まず、元日のプロレスリング・ノア日本武道館大会のメインイベントでは、エース清宮海斗が、自身の真偽不明のスキャンダルを次々と暴露する“暴露系ヒール”OZAWAと対戦した際、逆にブーイングを浴びた。その3日後の新日本プロレス1・4東京ドーム大会では、ザック・セイバーJr.の持つIWGP世界ヘビー級王座に挑戦した“次期エース候補”海野翔太が、応援されるどころかブーイングを浴びてしまった。

　清宮へのブーイングは、NOAHという団体にどこか漂っていた閉塞感をOZAWAという黒い新星に打ち破ってほしい思いが感じられるもので、海野へのブーイングは実績不足の海野がドームのメインでIWGP世界戦を行えるということに対し「会社のゴリ押し」を感じたファンからの拒絶反応のように思われた。

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　ブーイングの“質”は少し異なるものの、どちらにしても本来は大ベビーフェースであるはずの団体エースや次期エース候補が、年間最大級のイベントでブーイングを浴びるのは異常事態であることに間違いはない。

日本初のブーイングを受けたのは、王者マイティ井上

　ところで、この観客が口で「Boo～（ブー）」と発するブーイングという観客の意思表示手段は、プロレスに限らずサッカーをはじめとした他のスポーツなどでも不満や嫌悪を表現する際に使われるが、日本で定着したのはプロレスが最初だった。

　日本のプロレスでブーイングが行われるようになったのは1989年、和暦にすると平成元年から。つまり昭和のプロレスにはブーイングが存在しなかったのだ。かと言って昭和の頃は観客のお行儀が良かったわけではない。野次や罵声は現代よりもはるかにすごいもので、ただブーイングというアメリカ式の意思表示手段を知らなかっただけだ。

　そんな昭和のプロレスや他のスポーツなどで、ブーイングの代わりの役割を果たしていたのが「帰れ」コールだ。昨年話題となったNetflixドラマ『極悪女王』でダンプ松本が、クラッシュ・ギャルズを応援する少女ファンから大「帰れ」コールを浴びせられる姿が再現されていたが、あれが昭和における過激な“ブーイング”だったのである。

　では、アメリカ式の「Boo～！」というブーイングは、どのようにして日本に“輸入”されたのか。

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