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「こんな身体で妊娠できるのか」悩んだ無月経…レスリング登坂絵莉が女子選手に伝えたい大切なこと「リオ五輪金…1年半止まっていた生理が」の壮絶ストレス
text by

石井宏美Hiromi Ishii
photograph byWataru Sato
posted2025/03/06 11:02
女性アスリートにまつわる問題について、率直に語ってくれたレスリング金メダリストの登坂絵莉さん
「血液検査の結果だと、私の場合はエネルギーが足りていないということもなかったんですよ。ただ、普通に食べられる時期もあれば、減量のため摂取エネルギーを最小限に抑えないといけない時期もあって。減量時には生理が止まることもよくありました。やっぱり極度の減量は身体にとっては決していいとは言えないですよね。(無月経になったのは)少なからず減量の影響があったんじゃないのかなと思います」
金メダル獲得...直後に生理が
1年半もの長期間止まっていた月経が再開したのは、金メダルを獲得したリオ五輪の直後だった。48kg級の決勝では、1-2とリードを許す展開から残り5秒で劇的な逆転勝ち。激闘を制して悲願を果たし、金メダルを胸に凱旋した。
「実家に帰った日に生理が来たんです。プレッシャーを感じるタイプではなかったので精神的には元気な状態だったんですが、意識はしていなくてもプレッシャーやストレスが表れていたのかもしれませんね。身体は正直でした」
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月経が止まった当初、厳しいトレーニングをするには「月経がない方がラク」と安易に考えてこともあった。ただ、無月経を放置すると、将来的に不妊の可能性があることも聞いていた。実際、「こんな身体で将来妊娠できるのだろうか」と不安な思いが心にひっかかっていた。だからこそ1年半ぶりに生理がきたときは安堵したという。
見過ごされがちな女性特有の悩み
レスリングに限らず、指導者の多くを男性が占めるスポーツの現場では、月経を始めとした、とくに女性の身体的な問題に関して見過ごされがちだ。
女性アスリート側から男性の指導者に月経の悩みを打ち明けやすいかというと、現状ではまだまだ厳しい。
「もちろん時代とともに男性の指導者が生理に対して理解を深めてはいると思います。でも、私の現役時代はまだまだそういう環境ではなかったですね。やっぱり相談しづらかったですし、相談したところで“絶対に分かってもらえないだろう”、そうと決めつけていた部分もありました。
だから所属チームのコーチには生理がずっときていないことを伝えていなかったんです。自分でいろいろ調べて情報を得て対処したり、代表の合宿の時に婦人科の先生の講義を聞いて生理への理解を深めたりして、すべて自分で解決していましたね」


