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森下暢仁、名実ともにカープの顔へ…「先頭に立ってやっていく」初の開幕投手抜擢で問われる自覚と覚悟
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前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/03 11:00

キャンプでは初日からブルペン入りするなど意欲的な調整を続けてきた森下
塹江は20年以降、先発登板が一度もない「左キラー」の中継ぎ投手。開幕カードで当たる阪神の藤川球児監督が、メディアを通して「(開幕投手を先に公表するのは)先輩なんじゃないんですか?」と発信した心理戦をうまくかわすジャブにもなった。
ただキャンプ初日、新井監督はこうも言っていた。
「相性とかはまったく見ない。年が変わっているから、昨年どうだったというのも1回リセットして。そういうのは見ない」
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開幕カードで当たる阪神との相性についての質問に実名を挙げなくても、直近3年で12戦2勝6敗、防御率3.08の森下を指しての発言だった。
監督の発言で注目がそれるなか、森下は初日のブルペン入り以降も例年以上に高い頻度でブルペン入りするなど、順調に調整のペースを上げていった。2月20日には実戦形式のシート打撃に登板。10人の打者を相手に4安打も、最速は150キロを計測し、2三振を奪った。その2日後、新井監督から球場のロッカーで開幕投手を告げられた。
新井監督も期待する潜在能力
「ここ数年は自分で思っているような数字が出せていないと思う。もちろん、こちらから見てもあいつが持っている力、素材を見たら、まだまだ物足りない。中心になって引っ張ってみろよ、今年見せてくれ、やってみろよという期待を込めて開幕投手にしました」
新井監督は森下が胸に秘めた思いを知っていたかのような言葉でハッパをかけた。
新井監督だけでなく、球団の期待も高い。マツダスタジアム正面入り口にあるグッズショップの高さ6.6mの壁面の写真パネルは昨年まで2年続けて新井監督のものだったが、今年は森下となった。6年連続V逸だけでなく、スター選手不在もチームの課題。森下は今年、名実ともにチームの顔となることが求められている。
