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“球団ワースト91敗”の昨季に西武ベテランの本音「こんなに負けてしまうのかなって…」栗山巧が明かした危機感の正体「4月に結果を出さないと」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/23 06:00
球団ワーストとなった昨季からの再起を誓うベテラン・栗山巧
「正直、若手をライバルという目で見たことがない」
個人としても、昨季の成績(出場60試合、打率.226、1本塁打)は不本意だったが、試行錯誤の中でも得るものは多かったという。例えば二軍戦に出場するなかで共に過ごした、若手選手の存在だ。
「みんな本当に必死にやっているんです。見ていて、今の子たちがどういうスイングを求めて、どんな打ち方がしたいのか、興味が湧いてきました。何考えてんの? 教えて! って。彼らと話をしていると、若手でもベテランでも突き当たる課題は一緒なんやな、と気づくこともできた。そらそうや、年齢によってボールが変わるわけじゃないんだし、悩みも課題も一緒やわ、と思いましたね」
チームとして見れば、低迷の原因は打率12球団ワーストの貧打にあり、背景には若手野手の伸び悩みがある。進まない世代交代は図らずも、不惑を越えたベテランの存在価値を高めているとも言える。そんな若手野手の存在を、栗山自身はどう見ているのか。
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「正直、若手を競争相手とかライバルという目で見たことがない。そんな風に言うと“差がある”と自負しているように聞こえるかもしれませんがそうではなく、戦うべきは自分自身だということ。自分の技術と体力をキープして怪我さえしなければ結果が出せるということが一番大事だと思っています」
今までにない危機感と決意表明
巻き返しを期す新シーズン。栗山が何度も口にするのが「4月」という言葉だ。昨年は自身もチームも春先に躓き、その後も流れを取り戻せなかった。
「4月にしっかり結果を出さないといけないと思っています。今の自分の状況ではダメなら二軍に行くこともある。今まで春先は打撃の状態を測っていたような部分もありましたけど、もはやそんなことは一旦置いて、4月に数字を出すことを意識して準備しています。打率3割は打ちたいと思うし、試合を決めるような一打が4月だけで2、3試合あるような活躍をしたいですよね」
長いシーズンを通して力を発揮することに注力していたレギュラー時代とは全く違う、スタートダッシュへの思い。それは「背番号1」が抱く今までにない危機感であり、華麗なキャリアの延長ではなく、“チャレンジャー”としてシーズンに挑むという決意表明でもある。
「そうですね。まさに今、一軍で試合に出始めた頃のような気持ちです。去年までの流れを払拭するために、チームとしても4月に数字を出すことが大事。僕のこういう姿をちゃんと見せていかないとアカンと思うし、伝えたいなと思う」
後ろ重心で「下り坂」を歩む気などない。42歳、闘いの1年が始まる。
栗山巧Takumi Kuriyama
1983年9月3日生、兵庫県出身。2002年にドラフト4巡目で育英高から西武に入団。'08年に最多安打。'21年に2000安打、'24年に史上15人目の400二塁打を達成した。177cm、85kg。
