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「カーブ、本当はもっと落ちるんですけどね」FA移籍・石川柊太に育成から復帰・石川歩も…若手中心の中、ロッテキャンプで注目の仕上がりは誰?
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2025/02/12 11:01

2023年に右肩手術を受けて育成契約になっていた石川歩だ。田中将大、坂本勇人らと同世代、今年4月に37歳になるが、昨年6月に支配下に昇格して、ようやく戦列に復帰した。
前評判が良かった新外国人の左腕ブライアン・サモンズは、通訳と話し込んでいる。いろいろ日米の違いについて確認しているのだろう。
ここ数年、石垣島のロッテキャンプに来れば、まずは「佐々木朗希はどこか」と探したものだ。彼は投手陣と別行動をとることも多かった。ある時は、朝から陸上競技場でトレーナーについて長々とストレッチをしていた。また緩いノックを受け続けていることもあった。そしてブルペンでは1年目からすさまじいボールを投げ込んでいた。正直に言えば――彼がいない喪失感は小さくない。
FA移籍・石川柊太がブルペンに入ると
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ブルペンが騒がしくなった。投手が投げ込みを始めたのだ。
千葉ロッテの石垣島のブルペンでは、6人が同時に投げることができる。トラックマンが2基、ラプソードが1基設置されている。一番右寄りのレーンで、背番号「21」が、投げ始めた。石川柊太だ。今季、FA権を行使してソフトバンクから加入した。まだ、キャンプ地内に掲げられている選手名鑑の看板には、写真がない。
昨季の日本シリーズ第4戦では6回途中まで1失点と好投。球数は嵩んでいたが、ソフトバンクの小久保監督はこのタイミングで石川を降板させた。このあたりから日本シリーズの形勢は逆転し、流れはDeNAに傾いた。結構、決定的な局面だった印象があるが――このFA移籍は関連があったのだろうか。
ぽんぽんと快調なテンポで投げ込んでいく。
受けるのは小池翔大ブルペン捕手。今季は眼鏡をかけている。ファンからは「受けてるの古田敦也?」と声がかかる。石川は小池ブルペン捕手の構えたミットにずばっと速球を投げ込んでいく。ミットは全く動かない。これは観ていて気持ちがいい。
「カットボールいきます」
「カーブです」
「カーブ、本当はもっと…」
40球を投げ終わった後、石川は小池ブルペン捕手と話す。