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「10年前の私に教えたい、まだゴルフしてるよって」10年優勝なし、育児しながらツアー転戦…それでも、横峯さくらが“39歳の自分”に期待する理由
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南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2025/02/09 06:00
新シーズンに向けて順調な仕上がりをみせる横峯さくら(39歳)
結果が伴わなかったことは私生活にも影響を及ぼした。横峯は夫でキャディを務める森川陽太郎さん、4歳の息子と家族でツアーを転戦している。試合会場に託児所がない場合は両親に預けるか、またはベビーシッターに同行してもらい、息子の面倒を見てもらっている。
「(子育てもゴルフも)頑張りすぎちゃだめだと心の中では思っていたんですけど……」
成績が悪ければ、試合後に練習場へ直行する。復調のきっかけがつかめない日は、夜9時頃まで試行錯誤することも珍しくない。宿泊先に帰ると、ベビーシッターがすでに息子を寝かしつけてくれていた。意に反して、家族と過ごす時間が減った。
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「練習できる体力があったことで、ずるずると……そもそも私の性格は完璧主義じゃなくて、大雑把なのに」
だからこそ、今年掲げるテーマは「焦らず、ゆっくりやっていこう」にした。
オフシーズンでクラブを握るのはゴルフをする時だけ。うまく使える身体を作ること、スイングの良いフィーリングを重視することを心がけた。正月は家族で旅行に出かけリフレッシュする時間も作った。その成果か、今年1月のラウンドでは、6アンダー、7アンダーと2日続けて良いスコアが出た。
同世代の上田桃子が活動休止
「焦らず、ゆっくり」は、実に今の横峯にぴったりなテーマかもしれない。
昨年11月、女子ゴルフ界を共に盛り上げてきた上田桃子(38歳)が競技活動を休止すると発表。これからもゴルフ界に関わっていく意向のため、“引退”という言葉を用いなかった。「試合会場で見れないっていうのは寂しいですが、やっぱり彼女の人生だし、これからも、モモちゃんの人生を応援したいなと思ってます」と横峯はエールを送る。盟友の決断に心が揺れてもおかしくないが、横峯は「私はレギュラーツアーにこだわりたい」とキッパリ言い切った。
自分は自分。目指す道を進むだけ。
「目指してるのは永久シードなんで。だから昨年も予選落ちが続いた時にちょっと弱気になったんですが、今、辞めたら後悔するなと」
永久シードを得るためには国内ツアー通算30勝以上が条件となる。つまり、あと7勝ーー。
それでも今の横峯に気負いはない。酸いも甘いも噛み分けてきたことで、モチベーションの源が少し変わってきた。


