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「本当は大谷vs.朗希を見たかった…」“ドジャース佐々木朗希”論争にLA名物記者が意外な本音「オオタニの一部になるのはもったいない逸材」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byReuters/AFLO
posted2025/01/24 17:01
ドジャース入団が発表された佐々木朗希(23歳)。ロサンゼルス・タイムズの記者に意見を求めた
去年、大谷というスーパースターが名門チームのドジャースに移籍し、ワールドシリーズを制覇して盛り上がったのはよかった。ただ、現在アメリカのベースボールはいい立ち位置にいるわけではない。現実的には今のMLBは話題性が地域に限定されたスポーツだ。たとえばレッズのエリー・デラクルースは地元では人気かもしれないが、シンシナティ以外ではほとんど知られていないだろう。
アメリカのスポーツはテレビ契約で儲けるが、パドレス戦を中継していた地元テレビ局が破産してしまった。これからレギュラーシーズンの放映権がどうなっていくかはわからないし、MLBを全米中継するFOX、ESPNとの放映契約もあと2年で切れる。その後は動画配信に移行することも考えられ、変化の波は押し寄せてくるのだろう。
そんな状況下で、MLBには全国区の知名度を誇るチーム、選手が何よりも必要だ。ここで佐々木も加え、多くのスーパースターを揃えたドジャースが毎年、ワールドシリーズを争うようなチームとして確立すれば業界全体にとって大きいと思う。
“スーパーチーム化”を加速させる朗希の存在
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1998〜2000年まで3連覇を果たし、最後のダイナスティを築いたヤンキースの中心になっていたバーニー・ウィリアムズ、ポール・オニール、ティノ・マルチネスはとてもいい選手ではあったが、偉大なプレイヤーとまでは言えなかった。それでもチームが支配的な強さを誇っていたがゆえに、彼らは全国区の有名選手になった。今のドジャースにはそうなっていくチャンスがある。
日本ではひと足先にそれが起こっている。ドジャースの選手ということで、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、テオスカー・ヘルナンデス、デイブ・ロバーツ監督といった中心人物はすでに日本でもビッグネームになった。
ドジャースが地上波FOXで中継されているワールドシリーズの常連になれば、アメリカでも同じことが起こると思う。もちろんロサンゼルス以外の街ではドジャースは嫌われ、ファンは負けることを望んでゲームを見るのだろうが、それでも興味を持たれないよりはずっといい。
2年前のレンジャーズ対ダイヤモンドバックスはほとんどのスポーツファンに関心を持たれず、悪夢のようなワールドシリーズだった。ドジャースが出場するシリーズはそうはならない。そう考えていくと、ドジャースのスーパーチーム化を推進する佐々木の加入はベースボールにとっていいことだったというのが私の意見だ。


