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「ん? 骨折。でも遠征に行くから」18歳松坂大輔の死球で顔面骨折も…ホークス日本一を支えた37歳秋山幸二の鉄人伝説「こんな顔でよかったら喜んで」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKazuaki Nishiyama
posted2025/01/22 17:00
37歳だった1999年シーズンに秋山幸二が見せた姿勢とは
「試合は終わっていて、そうしたら秋山さんが戻ってきたぞと大騒ぎ。チームみんな心配して通路に総出で待っていたら、秋山さんは笑ってました。慌てふためく僕らを見てボソッと『何やってんだよ』って。診断結果を訊くと『ん? 骨折。でも遠征に行くから』と普段と同じ何食わぬ顔で返されました」
二つ返事で「こんな顔でよかったら喜んで」
全治2~3週間の重傷の診断だ。すぐにプレーできる状況でないのは明白。しかし、秋山の思いを汲み取った王監督は登録抹消を見送ることにした。「アキ、試合に出られなくてもいい。ベンチで若手の力になってくれないか」との言葉に「こんな顔でよかったら喜んで」と二つ返事で引き受けた。
その2日後からの大阪遠征には、さも当然のように秋山の姿があった。顔の左半分が痛々しく腫れ上がっている。物静かで口下手な男はただ座ってじっと視線を送るだけだったが、不安に襲われていた浜名はそれでも嬉しかった。ほっと胸を撫で下ろしたのか。いや、また別の感情だ。
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「これぐらい覚悟を決めるのが真のプロであり、優勝してきたチームでレギュラーを張ることなのだと、思い知らされました」
23歳の城島が秋山のところに来て…
出場できない秋山は試合中、ベンチにいるだけでなくその裏にある選手サロンの椅子に腰掛けてモニターで戦況を見つめることも多かった。するとダイエーの攻撃中に打順がしばらく回ってこないと見た選手たちが、代わる代わるベンチを抜け出してやってくるのだ。ある時、そこにやってきたのは城島健司だった。のちに日本人初のメジャーリーガー捕手になる男は、当時23歳の若さで正捕手に起用され打線でも中軸を任されていた。すでに風格十分で豪傑なイメージも定着していたそんな男も秋山のところへ来て「チャンスで打てないんです」とすがる様に言うのだ。
秋山はこんな風に返した。
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