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「東京ドームの観客数…これは寂しい」新日本プロレス“棚橋丸”を救うのは誰なのか?「メインを食った」ゲイブ・キッドという希望「救世主はこの3人」 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2025/01/11 17:36

「東京ドームの観客数…これは寂しい」新日本プロレス“棚橋丸”を救うのは誰なのか?「メインを食った」ゲイブ・キッドという希望「救世主はこの3人」<Number Web> photograph by Essei Hara

1月5日、ケニー・オメガとの死闘で東京ドームの観客の心をつかんだゲイブ・キッド(27歳)。2月には辻陽太のIWGP GLOBAL王座に挑戦する

ゲイブ・キッドが見せた「心に刺さる試合」

 辻と竹下は2日間とも魅力的な試合をしたが、もう一人、期待以上の大奮闘を見せたレスラーがいる。ゲイブ・キッドだ。27歳だが、英国で11歳からレスリングを始めて14歳からプロレス興行に参戦していたという経歴を持っている。2017年には現WWE王者のコーディ・ローデスに勝っている。2019年、柴田勝頼の目に留まりスカウトされて、ゲイブはLA道場に入った。

 ゲイブが新日本のヤングライオンとしてデビューしたのは2020年の1月だから、新日本でのキャリアは5年になる。2023年6月、バレットクラブに入ったゲイブは荒っぽさを前面に出した。2024年5月、アメリカで行われたノーロープのノーDQマッチでエディ・キングストンをKOしてSTRONG無差別級王座を奪取している。また、ノアの清宮海斗を襲撃することで始まった抗争で、2024年6月、GHCヘビー級王座にも挑戦した。

 獲物を追うように敵に襲い掛かるその姿は無法者そのものだ。夜は大好きなハイボールを底なしの勢いで飲む。場合によっては昼間から飲む。「鳥貴族」にも行ってしまう。そんなゲイブだが、日常では優しさも感じさせることもある。

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 だが、スイッチが入ったときの気性の激しさはすさまじい。昨年11月、大阪大会のバックステージでケニー・オメガとの口論から乱闘に発展した。新日本からはペナルティを課されたが、この1月5日の東京ドームのセミファイナルで観客の心に刺さる試合をやってのけた。

「オレもついに東京ドームのセミファイナルか」という思いがゲイブにはあったのだろう。

 ゲイブはどうにでもなれというくらいケニーを攻め、両者血みどろの激しい戦いになった。ケニーは長い闘病欠場からの復帰戦とはいえ、「ベストバウトマシーン」の肩書通りの試合をしたが、ゲイブの馬力に圧倒されてかなり消耗していた。それは2017年1月4日に東京ドームで「世界を驚かせた」オカダ・カズチカとの46分45秒とはまったく異質のものだった。

【次ページ】 新日本の救世主は「ゲイブ、辻、竹下の3人」

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