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「トレンド1位、いただきました!」箱根駅伝5区“例のポーズ”がSNSで話題沸騰…早大の“山問題”を解決「山の名探偵」まさかの名付け親は…?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/06 06:01
SNSでトレンド1位も獲得した「山の名探偵」こと早大の工藤慎作(2年)。イロモノのようなネーミングだが、その実力も特筆モノだ
マイペースを貫いて3つ順位を上げ、チームは往路3位。
「真実はいつもひとつ!」と名探偵コナンのポーズを決めて、往路のフィニッシュテープを切った。
「70分想定でしたが、そんなに行けないだろうと思ったりもしていたので、想像以上です。100点の出来です」
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工藤自身、満点を付ける走りだった。
また、全日本大学駅伝の8区では駒澤大の山川拓馬に約1分差を付けられたが、今回の直接対決では見事に勝利した。
「全日本大学駅伝の時にはコテンパンにやられてしまった。強い選手で、ものすごい練習をしていると思いますが、そういう選手に勝てるのも箱根の山なのかなと思います」
格上と目されていた山川もまた山上りの実績がある選手だが、その山川に対して、工藤は37秒差を逆転し、区間タイムでは1分24秒も上回った。
早大は箱根駅伝の5区で苦戦することが多く、上位進出するために山問題の解決が待たれていた。その役割を任されたのが工藤だ。前回で糸口をつかみ、今回はついに解決にこぎつけたと言ってよさそうだ。
芦ノ湖では茶目っけたっぷりな一面を覗かせた工藤だが、その実はストイック。自らを“走る・食べる・寝るだけの陸上ロボット”と称するほどだ。
「自分は友人が多いタイプではないので、夏も遊びに出かけず、その分、陸上に時間を充てることができました。そういう生活が実を結んで、今季は出雲駅伝の辺りから結果が出始めました。自分が正しいと思ったことを継続できたのが良かったと思います」
夏合宿からすでに「山上り対策」を…
今シーズンは箱根5区にかける思いが強く、早い時期から準備を重ねてきた。
例えば、北海道・紋別で行った夏合宿ではこんなひとコマがあった。それは合宿最終日の朝練習のことだった。
前日に16kmの変化走という負荷の大きい練習を行っていたため、その翌朝は各自でジョグをすることになっていたのだが、工藤は山上りの練習を志願。花田監督は「無理はしなくてもいいよ」と諭したが、工藤は敢行した。
長めのジョグをした後、標高334mの紋別山の山頂付近にあるオホーツクスカイタワー(※テレビの電波塔を兼ねた展望塔)に向けて上り一辺倒の山道を走った。ハードな練習を行った翌日にもかかわらず、朝から2時間超も走っていた。