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父・桜庭和志から言われた「とにかく攻めろ」 桜庭大世のRIZINデビュー戦“衝撃の26秒KO”はなぜ起きた?「自分も修羅場を経験したい」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2025/01/01 18:27

父・桜庭和志から言われた「とにかく攻めろ」 桜庭大世のRIZINデビュー戦“衝撃の26秒KO”はなぜ起きた?「自分も修羅場を経験したい」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

MMAデビュー戦で矢地祐介からKO勝利を収めた桜庭大世

 父からアドバイスされたことはあまりないという大世だが「とにかく攻めろ」とはよく言われた。

「守っていればやられることはないけど、お前も決められないんだよ」

 以前、取材した際にこんな言葉を聞いたこともある。

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「格闘技の特色は攻撃に出ると思うんですよ。空手はどんな格闘技ですかっていったら、殴ったり蹴ったりするものですよね。柔道は相手を掴んで投げる格闘技。投げられて受身を取るのが目的ではないはずで」

父・桜庭和志の採点は「80点」

 いつ、どんな場面でも攻める。四半世紀前の格闘技ファンを熱狂させた“桜庭イズム”がここで出た。それもパンチという形で。

「父は寝技ばかりだったと言われますけど、僕は打撃も練習してるので」

 ただ“より面白く”を求めるのも桜庭。父の採点は80点だったそうだ。

「もっといろいろ見せろって意味だと思います。秒殺はあんまよくないと。でも盛り上がったからしょうがない、80点だと」

 蹴り足をキャッチされた際の攻防は、何度も練習してきたという。「僕は蹴りが得意なので」と大世。得意だから蹴りを出す。MMAでは蹴りをキャッチされ、倒されるリスクが高い。逆に言えば相手は掴めるなら掴もうとする。そこで“二の矢”を用意していた。だから大胆に蹴ることができたとも言える。単純にラッキーパンチだったとは言えない。

試合後に見せたピースサイン

「そういう部分は、やっぱり“IQレスラー”なんでしょうね」

 親子2代をプロデュースした元PRIDE代表にしてRIZINのCEO・榊原信行は言った。もちろんファイターとしての能力はまだ未知数。何よりもほしいのは経験だ。

「もっと修行期間がほしいですね。矢地さんもですけど、みんな修羅場の経験をしてきてますよね。自分も修羅場を経験したい。いっぱい試合がしたいです」

 浮かれもせず謙遜しすぎもせず、桜庭大世はMMAファイターとしてのスタートを切った。試合後の記念撮影は笑顔でピースサイン。その姿を見て、若き日の桜庭和志も笑顔がトレードマークだったのを思い出した。

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