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「山の神に迫った男たち」宮下隼人&山本唯翔が“史上最大の5区決戦”を大予想! 箱根駅伝の4代目「神」候補は若林宏樹(青学大)かそれとも…?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/01 11:02
5区で区間新記録を叩き出すも、「山の神」襲名とはならなかった山本唯翔(当時城西大/左)と宮下隼人(当時東洋大/右)
区間配置の発表で5区出走が決定しているのが、工藤慎作(早稲田大2年)、若林宏樹(青学大4年)だ。駒澤大は補欠登録の山川拓馬(3年)、城西大は斎藤将也(3年)が当日変更で5区に入ることが濃厚だ。創価大の吉田響(4年)も補欠登録だが、2区にスティーブン・ムチーニ(2年)が入れば吉田が当日変更で5区に入るだろう。実力者が集い、しかも優勝を争うチームの選手ばかりなので、「4代目・山の神」が誕生する機運は高まっている。
「神」の座をうかがう猛者たち
城西大の斎藤は、10000m27分45秒12のスピードを持つ。山本以上に上りに強く、軽い走りからは、先輩の区間記録を破り、「妖精」を超えて「神」になる可能性が十分に感じられる。
早稲田大の工藤は今季、出雲駅伝の6区2位、全日本駅伝の8区で3位とロング区間で結果を出し、タフな走りがウリの選手。花田勝彦監督は「平地でも強くなり、前回(5区6位)よりも結果を出すだけの力を持っている」と、「山の名探偵」が「神」になるのを期待している。
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青学大の若林は自ら「ラストは、山の神になって終わりたい」と口にし、現役引退を「神」になって締めくくる覚悟だ。11月下旬のMARCH対抗戦で27分59秒53と27分台を出し、「最後に27分台を出せた。あとは箱根だけ」と、気合い十分だ。
駒澤大の山川は今季、駅伝で絶好調だ。1年時の借り(区間4位)を今回、区間新で返す意気込みでいる。山川の走りを考えれば、昨年の山本の区間記録(69分14秒)を超えて68分台も可能だろう。「神」になる有力候補だ。
創価大の吉田も常々「山の神になりたい」と語っており、そのために今年1年は走力を磨いてきた。山に特化するのではなく、平地でも他大学のエースと戦えるように力をつけ、出雲駅伝では2区区間賞、9人抜きでトップに躍り出た。全日本駅伝でも2区で青学大の鶴川正人(4年)と激熱の競り合いを見せ、自らの強さを証明した。
山での走りに必要なこと
吉田の練習へのこうした取り組みは、5区で好走するためには重要なことだ。
宮下もかつて、5区で結果を出すために山に特化すべきか、様々な考えをめぐらせたが、先輩で「2代目・山の神」の柏原竜二から「普通にトラックやロードでのタイムを上げていくと、自然と走力が上がっていく。そうなると5区のタイムを出せるようになるので、5区にとらわれ過ぎないように」というアドバイスをもらったという。
その柏原の助言に、今回の吉田のアプローチはピタリと当てはまる。