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英国紙が批判「カマダは存在感が薄い」“天才”鎌田大地がクリスタルパレスで苦しんでいる「自分が想像していたサッカーではない」現地記者に本音を語った
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田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2024/12/25 17:45
プレミアリーグ1年目の鎌田大地(28歳)。「推定年俸10億円以上」クラブにとっても大きな投資のため厳しい声もある
クリスタルパレス「じつは厳しいチーム事情」
鎌田の言葉には、もう少し説明が必要だろう。本来グラスナー監督が目指しているのは、フランクフルト時代のような組織的なモダンサッカーである。鎌田も「フランクフルトはパスも繋いでたし、すごく攻撃的なチーム。ウイングバックも攻撃的で、足の速い選手が前に揃っていた」と話す。ところがクリスタルパレスでは、在籍している選手たちの特性があまりにも違う。
今年2月までクラブを率いていたのは老将ロイ・ホジソンだった。守備重視で失点しないことに重きを置き、攻撃もカウンターアタックを軸にしていた。現時点でクリスタルパレスに揃っているのはホジソン前政権でプレーしていた選手がほとんどで、カウンタースタイルに特化しているプレーヤーが多い。そのため、グラスナー監督の思い描くプレースタイルを実践するのは難しい。
しかも昨シーズンの好調を支えた主力の3選手が、夏の市場でチームを一気に去った。個人能力やフィジカルプレーを重視していたチームで、主力が3人もいなくなれば、下位に低迷するのはむしろ自然な流れである。実際、クリスタルパレスは11月まで降格圏に低迷。そこでグラスナー監督は、自身が就任する前の「守備的なフィジカルサッカー」に立ち戻った。チームの成績はここから徐々に改善してきたが、「柔」のエッセンスを持つ鎌田の序列は低下した。
「ラツィオの時もそうでしたけど…」
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自身の特徴に関する鎌田の分析も興味深い。
「いろんなチームでやってきましたが、やっぱり一緒に組む選手によって、自分のプレーがすごく左右されるなと思ってます。ラツィオではルイス・アルベルト、フランクフルトではマリオ・ゲッツェとプレーした。日本代表では守田英正選手とプレーしますが、彼らのような選手はポジション交換などもうまく行えるプレーヤーです。一方で今のチームは、個人でやれてしまう選手が多く、ポジションを入れ替えて、というようなプレーがほとんどない。ボール保持自体もあまり得意ではないと思う」
15日に行われたブライトン戦でも、鎌田は似たような話をしていた。鎌田は11月9日のフラム戦で退場となり、3試合の出場停止処分を受けた。記者団から「出場停止中どんな思いで見ていたか」と問われると、鎌田は「勝ち点を多く取れることを願いながら見てました。今はすごくポジティブに、チームとして良い方向に向かっている。そして、チームが良くなるのは自分にとっても良いことだ思う」と語った。
「チームが良くなるのは自分にとっても良いこと」との言葉を受け、筆者はこう尋ねてみた。「鎌田選手は新戦力。開幕当初チームが混乱していた時もありました。鎌田選手としてはチームの調子が安定してきたタイミングで、チームの中に入っていきたいという考えなのか」と。鎌田はこう答えた。

