熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「ハリルに戦力外通告された後、FC東京が」ルーズなブラジル人がJ通算99発の“神助っ人”になるまで「日本の教えに感謝…エンドウは天才だ」
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沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byToshiya Kondo
posted2024/12/21 17:02

FC東京、ガンバ大阪時代のルーカス。両クラブでタイトル獲得に尽力した
「毎日、練習して試合に出るうち、かつてのフットボールへの情熱が蘇ってきた。愛するクラブを助けることができ、サポーターに喜んでもらえて、選手冥利に尽きた」
――日本で最も苦しめられたDFは?
「横浜F・マリノスの中澤佑二と浦和レッズ、名古屋グランパスにいた田中(マルクス闘莉王)だね。2人とも強靭な肉体の持ち主で、非常にハードにマークしてくる。あるとき、中澤が例によってハードな守備をしてくるのでポルトガル語で罵ったら、ポルトガル語で言い返してきたので驚いた(笑)。彼はブラジルへ留学したことがあって、ポルトガル語が分かるんだね。ジュビロ磐田の福西崇史も嫌だったな。あのハンサムが、涼しい顔で、えげつないプレーをするんだ(笑)。でも、2007年にFC東京でチームメイトになったらとても気の良い男で、すっかり仲良しになったけれどね」
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――高く評価した日本人CFは?
「横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島の久保竜彦とセレッソ大阪、ヴィッセル神戸の大久保嘉人だね。久保はとてつもない身体能力を持つ野性的なストライカーだったし、大久保は小柄だけど闘志の塊で、技術もある日本のロマーリオだった」
フランスでどん底に落ちたが、日本で蘇った
――欧州で成功してセレソン(ブラジル代表)に選ばれ、W杯に出場して世界一になる、という夢を一度は捨てて25歳で日本へ渡り、結果として合計9年半もプレーした。日本へ行って良かったと思いますか?
「自分にとって最高の選択だった。僕はフランスでどん底に落ちたが、日本で蘇った。さらに、人間としても大きく成長した」
――あなたは、とても誠実な人柄という評価を受けています。
「そう言ってくれる人が多いんだけど、日本に行くまではそうじゃなかった。時間にルーズだったり、約束を守らないことがあり、よく妻から注意されていた。でも、そういった人間として重要なことを、日本で日本人から教わった。そのことを、今でもとても感謝している」
――息子さん2人も選手を目指しているそうですね。
「長男ペドロは19歳のアタッカーで、地元のボタフォゴのU-20所属。すでにトップチームの公式戦でもプレーしている。次男ジョアンは16歳で、やはりボタフォゴのU-17所属。彼はMFだ」
――将来、もし2人が日本のクラブからオファーを受けたら、どうアドバイスしますか?
「日本は最高の場所だからぜひ行け、と言うよ。もしそれがFC東京かガンバ大阪なら、言うことなしだね」
――日本代表についてもお話を聞かせてください。
「ああ、試合はいつもテレビで見ているよ。久保建英とも直接話をしたことがある」
――そうなんですか?〈つづく〉

