欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「クボは守備が力強くなったが、まだダメだ」中2日フル出場MVP久保建英へ辛口の愛…“ソシエダ会員歴44年”ホテルマンと「試合後つった足」
text by

中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/12/05 11:00
1ゴール1アシストのELアヤックス戦から中2日、久保建英はハードワークでソシエダの勝利に貢献した
相手陣内右サイド深い位置で久保がペローのマークに耐えボールをキープ。引きつけた相手DF2人の間からミケル・オヤルサバルへとパスを通す。ボックス内に侵入したオヤルサバルが相手に倒されてPKを獲得。オヤルサバルが自ら決めてリードを広げた。
VARによる判定は、審判によってはPKではなかった可能性もあったと思えた。ただオヤルサバルにファールをしたのがペローだったのは、偶然ではないだろう。
ペローからすると、久保の元から慌ててオヤルサバルの元に駆けつけねばならなかった・さらに激しく互角のやり合いだった久保との関係は、徐々に後手に回るようになっていて、強い精神的なストレスがボックス内での判断ミスにつながった。
ADVERTISEMENT
ソシエダとしても2-0で前半を折り返したとはいえ、前半シュート数が「1」のみだったことからも、拮抗したゲーム展開だったことが分かる。2点のリードは、久保や(アイエンにボールをすぐ渡した)ボールボーイも含めた細かな上積みの結果だったが、得点力不足に悩むソシエダにとっては幸運でもあった。
守備でのハードワーク、そして試合後つった足を…
後半に入ると、追いかけるベティスが攻勢を強めた。その中で久保も自陣に戻っての守備に追われる時間が増えたが、攻撃時には敵陣最前線に立ち、攻撃の起点となった。
自陣に戻っての守備でも、相手10番、元バルサ所属のドリブラーであるアブデ・エザルズーリをストップ。最終盤にも全速力でプレスバックする姿を見せるなど、フル出場で貢献した。
冒頭のホテルマンが分析したように——この日の久保は、閉ざされた中盤での激しい攻防の中、見るものを魅了しワクワクさせるようなドリブル突破やカットインからのシュートを、見せることはできなかった。
やはり久保の魅力は攻撃時に最も発揮される。それでもこの試合、ゴール、アシストどころかシュートもゼロだった久保がMVPに選ばれたことが、過密日程の中での攻守両面にわたる貢献度を雄弁に物語る。
ホームチームは、チーム一丸となりベティスの攻撃をしのぎきった。
試合終了のホイッスルが響いた時、久保はピッチへ腰を落とし、味方からつった足を伸ばしてもらっていた。そんな1枚を写真に収めた。
この試合のソシエダと、久保を象徴するシーンとなった。








