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「僕は神様に好かれている」楽天・辰己涼介“金ピカ男”は炎上中でも「次回WBCで代表選出は確実」井端監督の信頼に豪語する「技術はあるんで、僕」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2024/12/02 11:01
「ゴールデン・グラブ賞」の表彰式に全身金ピカ姿で現れた楽天・辰己
「どうも……未来から来ました。未来と言ったら今日の夜の12時ぐらいから来たんですけど、もう答え言ってもいいですか? 優勝してます。なので道中に先制されようが逆転されようが気にしなくて大丈夫です。焦ることなく、自分が出せる力を皆さんが出し切ってください。優勝おめでとう! それではいきます! さぁ、行こう!」
“炎上”しても「絶対欠かせない戦力」
もちろん選手たちはこの“辰己節”で一気に盛り上がった。ところが結果はまさかの0対4の完封負け。日本の大会連覇は夢と消えてしまったのである。
その結果、この声出しが「調子に乗りすぎ」、「台湾に失礼」とネットで炎上した。なかには「2度と代表に呼ぶな」という過激な書き込みまで飛び出す始末だった。
だが、である。
もう答えを言ってもいいですか……辰己は2026年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に、再び侍ジャパンの一員として招集される可能性がかなり高い。それだけの実績、結果を今回の「プレミア12」で示したからである。
「技術はあるんで、僕は」
「やっぱりね、辰己は期待通りの結果を残してくれたと思います」
こう語るのは井端弘和監督だ。
「3番・センター」で8試合に先発して、トータル29打数9安打の打率3割1分をマーク。9安打中7本がセンターから左方向への当たりで、3本の二塁打は全て逆方向だった。四死球は8つを数え出塁率は4割4分7厘。盗塁も1つ決めている。
「初めてのピッチャーばかりなので、ボールを長く見たいかな、と。(四球数は)自分のストライクとボールのゾーンを完全に分けて、そこだけを意識した結果でした。いつもやっていることですけど、それを世界を相手に同じように戦えたというのはよかった。技術はあるんで、僕は」
こう豪語する辰己の真骨頂を感じたのは、敗れた台湾との決勝戦の最終回だった。
「神様に好かれている」男
先頭打者で打席に入ると一、二塁間を破る右前安打を放って一塁に立った。敗色濃厚なこの場面で、できることはヒットを打つこと、塁に出ること、そして日本の攻撃パターンを作ること。その仕事をしっかりとやった。
「大暴れできるかどうかは神様が決めることだと思います。でも、僕は神様に好かれているんで。スーパーラウンドでは必ず暴れると思います。舞台が大きくなればなるほど、思考的にも降ってくることがよくあるので。チームは必ず苦しい場面が来る。その苦しい場面で僕は絶対にチームを救う活躍をします。そういう運命なんです、僕は」
東京での2次ラウンドの前にはこんな“辰己節”を炸裂させていた。しかしこの土壇場の辰己の安打に後続が続かず、日本打線は何もできないままに敗れた。何かをできたのは、結果的には辰己だけだったのである。