「現役の時は自分も大変で、まずは自分と戦っていました。でも引退してツアーを率いるようになってからは、チームをまとめることや、メンバー一人ひとりに力を発揮してもらうことを考えるようになって、責任感が強くなったと思います。改めて、現役の選手をやっている時の大変な気持ちがわかるからこそ、子どもたちに頑張ってほしい、少しでも力になりたいという思いが強くなっていったんです」

　その気持ちの表れから、まだリンクを建設中だった時期のショーツアーでは、現役スケーターが観覧に訪れていると知ると、楽屋に呼んで声を掛けるようにした。

「各地で現役のスケーターが見に来てくれるのはすごく嬉しいことでした。自分が子どもの頃は、伊藤みどりさんに憧れて、みどりさんと話せるだけで嬉しくてパワーを貰っていました。それを思い出して、現役の子には『楽屋に来て』って伝えて、お話をしたんです。みんな緊張するのか、あんまり話してくれませんでしたが（笑）。私からは皆に『頑張ってね』とメッセージを伝えるようにしていました」

青春はすべてスケートリンク

　真央さんの後輩、そして次世代への思いは「MAO RINK」という形になって結実した。もちろん今はスタートしたばかり。夢を叶えていくのはこれからだ。

「自分は子どもの頃からスケートとともに育ってきたので、青春はすべてスケートリンク。そこでスケート以外のことも含め色々なことを学びました。リンクは『第二のおうち』という場所でもある。だからトップに立てるスケーターを育てることだけではなくて、人生の素敵な思い出となる場所になれたらな、と思います」

©︎Kiichi Matsumoto

　次の計画はアイスショー。『MAO RINK』で初演を迎え、各地を回り、千秋楽で戻ってくるというショーをイメージしているという。

「私の第1章が選手、そして第2章がショースケーター、そして第3章は指導者として挑戦していきたいという思いがあります。今はまだ私自身もショースケーターとして滑りますが、リンクのオープンを迎えられたことで第三章にむけて進み始めているという気持ちです。まずはショーに全力で、この『MAO RINK』をスタートにまったく新しいショーを開催したいと思っています」