また後半戦からポストシーズンにかけて一丸となっていったブルペンの雰囲気も、中川のハートを触発したという。

野手メンバーとの距離が縮まった

「僕が合流してからポストシーズンに向かう過程でブルペンの雰囲気がどんどんよくなっていくのを感じました。ヤスさん（山﨑康晃）や（森）唯斗さんが率先して盛り上げてくれて、また試合開始後に一度、ベンチに入ったり、勝利のハイタッチに参加したり、野手の方々とも距離が縮まって、個人的な意見ですが不思議と優勝すべきチームというか、そういう空気が流れているように感じました」

　そしてCSから日本シリーズ制覇の怒涛の約20日間。中川はブルペンの中心選手として奮闘したわけだが、そこには充実感しかなかった。

日本シリーズ第5戦を締めくくり、戸柱と抱擁　©Naoya Sanuki

自分は今「戦っているな」

「心身ともにきついっちゃきついんですけど、『戦っているな』とすごく思えたんですよ」

　そう言うと、中川は次の瞬間、ニコッと笑った。

「僕はあまり表情に出ないので、静かにですけどね。でもまあ心の奥底ではしっかり燃えていましたよ」

　苦労の果ての日本シリーズ制覇。同じ苦労であっても、過去に味わっていた苦労とは、まったく質が異なるのは言うまでもない。

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