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「ドライバーとして完璧だった」ライバルも認める“最速マシン”じゃなくても速いフェルスタッペンの異次元の強さ
posted2024/11/29 11:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images / Red Bull Content Pool
派手さはないが、いままでだれも成し得なかった記録が誕生した。
11月23日の第22戦ラスベガスGPで、レッドブルのマックス・フェルスタッペンがチャンピオンシップを争ったライバルのランド・ノリス(マクラーレン)を抑えて5位でフィニッシュし、その差を63点に広げて4連覇を達成した。
F1の最多タイトル獲得数はミハエル・シューマッハとルイス・ハミルトンの7回。また4連覇はシューマッハとハミルトン以外に、ファン・マヌエル・ファンジオとセバスチャン・ベッテルも成し遂げている。
では、今回フェルスタッペンによって実現された記録とは何か。それは「3番目に速いマシンで4回目のタイトルを獲得」したことだ。
マシンも速かった過去の王者たち
シューマッハは2003年に4連覇を達成。所属していたフェラーリは1999年からコンストラクターズ選手権を連覇中だった。シューマッハはさらに04年シーズンも制して5連覇。フェラーリもコンストラクターズ選手権で6連覇を果たし、まさに黄金時代だった。
ハミルトンが4年連続で王座を獲得した20年も、所属していたメルセデスは14年から7連覇を達成と無敵状態だった。
10年からのベッテルの4連覇でも、所属するレッドブルはすべてのシーズンでコンストラクターズタイトルを獲得。まさに最強軍団が成し遂げた記録だった。
ファンジオが4連覇を果たした50年代中盤はまだコンストラクターズ選手権が制定されていなかったため正確な比較はできないが、ファンジオが乗っていたマセラティやメルセデスが当時、常に優勝争いを演じていた強豪だったことを考えると、ファンジオがトップチームの一員として記録を成し遂げたことは間違いない。