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「植草って誰? 全然似てねえじゃん」“空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ”と呼ばれ…植草歩がいま明かす本音「私も似てると思ってなかった(笑)」
posted2024/11/30 11:03
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Takashi Shimizu
通算4度の年間世界王者、全日本選手権4連覇など数々の戦績を残し、現役を引退した空手選手・植草歩。だが、その空手道は華々しいだけではなく、波瀾と苦難に満ちたものでもあった。プラスサイズモデルへの挑戦、“空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ”と呼ばれた現役時代の葛藤、そして東京五輪直前のパワハラ問題……。現在は日本体育大学柏高等学校で後進の指導にあたる植草が、Number Webのロングインタビューに答えた。(全3回の2回目/#1、#3へ)
「めっちゃかわいいね」お洒落に目覚めた彼氏の言葉
──制服とジャージを着回していた空手少女は、いかにしてお洒落に目覚めたんでしょうか?
植草歩(以下、植草) 中学3年生の終わりくらいに彼氏ができたんですよ。2歳上の空手選手です。一目惚れでした。
──自分からアタックしたんですか?
植草 そうですね。欲しいものは絶対に手に入れたいタイプなので(笑)。でも、あっちも一目惚れだったみたいで。
──じつは両想いだった。
植草 はい(笑)。たまたますれ違ったときに「この人、カッコいい!」とピーンときてからは一直線でした。ふたつ下から見たら、17歳は大人に見えるじゃないですか。一緒に歩いたときに「彼に見合う女の子になりたい」と……。
──そこからお洒落に目覚めていったわけですね。
植草 高校生は部活ばっかりだから、デートなんて半年に一回くらいしかできないんですけどね。他校に通っていた彼と試合会場で会うことがわかると、「どの服を着ていこう」と考えたり、友達にメイクを教えてもらったりするのが楽しくて仕方なかった。
──メイクのスキルも急速に上達したんでしょうか。
植草 いえ、彼氏から「メイクは下手」と指摘されましたね(笑)。そんなに化粧はしなくていいよって。高校生は化粧しなくてもかわいいですからね。
──若さで押し切れる、と。
植草 ある日、私服を着て会いに行ったとき、彼氏から「歩、めっちゃかわいいね」と褒められたんですよ。それがうれしくてうれしくて、お洒落が余計好きになったんです。だからきっかけは彼の一言ですね。