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空手世界王者が“プラスサイズモデル”に…いったいなぜ? 植草歩32歳が語った“意外な理由”「体重やスリーサイズが出るのは恥ずかしいけど…」
posted2024/11/30 11:02
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Takashi Shimizu
通算4度の年間世界王者、全日本選手権4連覇など数々の戦績を残し、現役を引退した空手選手・植草歩。だが、その空手道は華々しいだけではなく、波瀾と苦難に満ちたものでもあった。プラスサイズモデルへの挑戦、“空手界のきゃりーぱみゅぱみゅ”と呼ばれた現役時代の葛藤、そして東京五輪直前のパワハラ問題……。現在は日本体育大学柏高等学校で後進の指導にあたる植草が、Number Webのロングインタビューに答えた。(全3回の1回目/#2、#3へ)
「負けても悔しくない…」植草歩が現役引退を決めるまで
──今年5月に引退を表明し、9月には記者会見も行いました。小学3年生からの空手選手としての長い現役生活、“引き際”はいつ決めたのですか?
植草歩(以下、植草) 去年、4度目のプレミアリーグ年間王者になったときは「もうこれで最後にしよう」と思っていました。でも、まだ動けるし、2023年は世界選手権に出場できなくて涙が出るほど悔しかった。それに年間チャンピオンになれたということは「継続して強い」ということじゃないですか。その安定感が自分の長所だと思ったので、今年1月、パリの国際大会に出たんですよ。
──『KARATE1プレミアリーグ パリ2024』ですね。残念ながらグループリーグ敗退という結果に終わりました。
植草 試合前、少しも緊張しなかったんです。本当は右側につけるはずのスポンサーのロゴを左につけたり小さなミスもあったんですけど、全然動揺しなかった。試合も自分が勝っていたんですけど、最後はよくわからない技でポイントをとられて負けてしまった。昔だったら「何でだよ!」という気持ちになったはずなんですけど、全然そうならなかったんです。
──「チクショー!」とはならなかった、と。
植草 もともと練習量もモチベーションも落ちていたので、「まあやっても今年1年だな」と考えていました。でも1年やって何につながるとか、何をしたいというビジョンが全く見えなかったし、負けても悔しくなかったんですよ。