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「転んでもただでは起きない」駒澤大の逆襲はあるか…箱根駅伝メンバー選考レースで出場9名全員が自己記録! 「今回は挑戦者として伸び伸び戦える」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/11/20 11:01
第100回箱根駅伝では6区を走った駒澤大・帰山侑大。上尾ハーフで2位と結果を出した
藤田監督の思いは、吉本もよく理解している。
「関東インカレでは僕ら4年生がぜんぜん走れなくて、夏まで悔しい思いをしてきました。夏合宿に篠原が来てくれたことでチームが活気づいたし、自分たちもやってやろうという気持ちになれました。ただ、やっぱり今も篠原に頼り切りになっているのが現状で……。箱根まで時間が短いですが、自分たち4年生が逆に篠原に少しでも頼られるようにやっていきたいと思います」
吉本は、厳しい表情でそういった。
ハーフ2戦での収穫と課題
藤田監督は、箱根に向けて選手の足並みが揃ってきたことには安堵していたが、一方で「この結果は手放しで喜べるものではない」と表情を引き締めた。
「課題は、レース展開ですね。吉田(礼志・中央学大)君の後ろについていた帰山が前に出てレースの主導権を握ったんですが、15キロで前に出たことは悪くはない。でも、前に出る際の行き方ですよね。ジワッと上げるとみんなついて来てしまうんで、優勝した大東文化大の選手のように行く時はガツンと行かないと。前に行って勝負した時、勝ち切る力をつけないといけないですが、これを次にどう活かすか、ですね。あと、上尾は記録が出るので、世田谷を走った青学大の選手がここで走れば上位に来ていたと思います。そこはやっぱり頭の中に入れておかないといけないと思います」
今回の上尾は、勝負を意識させるのと同時に、平坦なコースの上尾で初めてハーフを走る選手はもちろん、箱根を目指す選手にハーフを走れる自信をつけてもらうという狙いもあった。選考レースのプレッシャーがかかる中で9名全員がPB、7名が63分切りという結果は、その狙いを十分クリアするものだったと言えよう。
「今回の上尾で、転んでもただでは起きない。それを他校に示すことができたと思います。あとは、箱根まで油断しないことですね。前回は3冠がかかっていてガチガチでしたが、今回の箱根は挑戦するという気持ちで伸び伸び戦えるはず。出雲、全日本で負けて、最後に“駒澤の逆襲”を見せられるか、ですね」
そう語る藤田監督の表情からは、その自信が見て取れた。