プロ野球亭日乗BACK NUMBER
佐々木朗希(23歳)のメジャー移籍に“モヤモヤ”が残る理由…ロッテ入団5年でポスティングを容認したのは何故? その背景には何があったのか
posted2024/11/16 17:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
ロッテが佐々木朗希投手のポスティング制度を使ったメジャー移籍を容認することを発表した。これに対して佐々木が入団5年でフルシーズンでの実働実績がないことや、MLBのいわゆる“25歳ルール”で譲渡金も3億円程度に抑えられる事態に、ファンの間では様々な論議が巻き起こっている。
ロッテが佐々木の移籍を認めた背景
佐々木がポスティング制度でのメジャー移籍を球団に求めるのは、選手に与えられた一つの権利である。制度的に特に間違ったことをしている訳ではないし、そのこと自体を批判される筋合いはない。この制度では、最終的に移籍を認めるか、認めないかのヘゲモニーを握っているのは球団なのである。そこが問題の大前提になるということだ。
「入団当初から毎年、話をしてきた。戦力的には痛いが、本人の強い思いを5年間、聞いてきた。今年までの5年間の総合的な判断で容認した」
移籍を認めた背景をロッテの松本尚樹球団本部長はこう説明する。
説明を素直に聞けば今回の移籍容認は佐々木の“情熱勝ち”ということなのだろう。ただ、その一方でこの説明にもう一つ納得できない理由は、ロッテはファンの思い、ファンの情熱を球団として判断材料としてなかったのか、ということだ。
佐々木の移籍容認発表直後から、球団には苦情電話が殺到したという話を聞いた。発表が11月9日でファンクラブの更新期限翌日だったという指摘がネットで溢れたことにも、ファンの苛立ちは現れている。
もちろんファンとて、佐々木のメジャー挑戦そのものを否定している訳ではないはずだ。日本ハム出身のダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)や大谷翔平投手、オリックス出身の山本由伸投手(いずれもロサンゼルス・ドジャース)らが華々しく活躍する姿を見て、いずれはロッテ出身の佐々木がメジャーで剛腕を見せる姿を夢想していたロッテファンも多かったはずである。
だが、それはそれとして「まだ早い」というのが、多くのファンの率直な感想なのだ。
大谷と佐々木の大きな違いとは
それはプロ5年目のオフという時間的な問題ではない。大谷だって5年目のオフに移籍を果たしている。ただ、大谷と佐々木の大きな違いは、やはりチームで残した実績である。