第101回箱根駅伝(2025)BACK NUMBER

「勢力図を変えるのも僕のミッション」全日本大学駅伝で二冠達成の國學院大學・前田康弘監督は一戦必勝で箱根駅伝に挑む 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byShota Matsumoto

posted2024/11/14 10:00

「勢力図を変えるのも僕のミッション」全日本大学駅伝で二冠達成の國學院大學・前田康弘監督は一戦必勝で箱根駅伝に挑む<Number Web> photograph by Shota Matsumoto

二冠を達成した直後、アンカーを務めた上原琉翔(右)と喜ぶ前田康弘監督

 青学大は最終8区の塩出翔太(3年)がまさかのブレーキで、チームは出雲に続いてまたも3位だった。だが、8区を除いてはすべて区間5位以内をキープしており、原監督の表情は明るかった。

「うちにもチャンスはあったし、今年は一強ではないね。箱根も3校が、復路の9区、10区辺りまでしのぎを削る展開になるんじゃないでしょうか」

 2戦を終えて、今季は3強の構図がはっきりした。

 残すは、来年1月の箱根駅伝のみ。区間が増え、ひと区間の距離も延びるが、選手層の厚さでは「メンバー争いが大変」と選手が口を揃える國學院大がいぜん有利だろう。だが、箱根駅伝には特殊区間と呼ばれる山上りの5区と下りの6区がある。

 過去3年、國學院大は5区で17位(前回)、7位(前々回)、9位(98回大会)とやや苦しんできた。駒大は5区の候補に山川(前々回4位)がいて、青学大には若林宏樹(前回2位)らがいる。ここが最大の課題だろう。

勢力図は塗り替わるか?

 ラスト一戦を見据えて、前田監督はこう話す。

「うちは枚数はいるんです。復路勝負になっても、勝負できるだけの人数が。ただ、全員が束になっても届かないっていうのが、箱根駅伝の奥深さなので。やっぱり『山の神』って言葉に象徴されるように、たったひとりですべてを変えられちゃう。そこをどうするかっていうのは、つねに頭の中にありますね」

 二冠と三冠とでは、達成の難しさが段違いだ。ましてやこの10年間、青学大が7回、駒大が2回の優勝と、両校は他大学につけいる隙を与えていない。箱根駅伝がいかに高い壁であるか、それは重々承知だろう。

 それでも、前田監督はどこか楽しげな様子でこう話す。

「何度も言いますけど、その2校が勝っているだけじゃつまらないじゃないですか。勢力図を変えるっていうのも僕のミッションだと思っているので、そのために次も勝ちたい。三冠は意識せずに、一戦必勝で箱根も勝ちにいきたいですね」

 101回の新たな歴史を紡ぐ大会で、大学駅伝界の勢力図は塗り変わるのだろうか。

 いずれにせよ、激戦となることは必至だ。

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