「うちはつなぎ区間に自信を持っていて、そこで区間賞を並べることで強さを証明できると考えてました。エースには平林がいるんですけど、駒澤さんも青学さんもエースは強い。正直、そこではあまり差がつかないので。やっぱり全日本だと7番手、8番手。ここにこれだけの選手を置けるのがうちの強さだと思ってます」

　前田監督はあえて主力の次と位置づける「中間層」という呼び方をしないが、それは個々の選手にそれ以上の高い能力が備わっているからだろう。たとえ序盤でリードをされても、トータルの足し算では上回れる。そんな勝利の方程式が確立されているようだ。

　各大学のエースが揃った7区で、平林清澄（4年）は青学大の太田蒼生（4年）と同タイムの区間2位。首位交代とはならなかったものの、最終8区で上原琉翔（3年）がついに4秒差を逆転。「後半勝負というイメージを持ちながら、9km過ぎの得意のアップダウンでしっかり仕掛けることができた」と優勝のフィニッシュテープを切った上原は誇らしげに話した。

大学駅伝三冠への意識

　出場は12回目だが、國學院大が全日本大学駅伝で優勝するのは初めてだ。ついに、来年の箱根駅伝で史上6校目となる「大学駅伝三冠」に挑む権利を得たが、前田監督はそれには慎重な姿勢を崩さない。

「そこ（三冠）は意識してないですね。ほんと、今回のレースも秒差なので。私たちは一戦一戦を全力で戦って、やっと取れたという感じですから」

　意識するのはやはり、この大会でも28秒差の2位に入った駒大と、3位（45秒差）の青学大だろう。

　駒大は2区がブレーキで大きく出遅れたが、3区の伊藤蒼唯（3年）が8人抜きの力走をみせ、さらには終盤の7区と8区で篠原倖太朗（4年）と山川拓馬（3年）が連続区間トップを奪う執念の走りで青学大を逆転してみせた。

8区で日本人歴代2位の好タイムでゴールする、駒大アンカーの山川拓馬　©Kiichi Matsumoto

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　とくに山川はこの区間の日本人歴代2位に相当するタイムで、ひと皮むけた印象である。主力の佐藤圭汰（3年）を欠いての好成績に、駒大の藤田敦史監督も自信を深めた様子だった。

「伊藤が流れを変えてくれて、4区から6区の駅伝初出走の3人も良い走りでした。篠原と山川はさすがでしたね。追う展開でも地力を発揮できたのは、箱根に向けての収穫だったと思います」

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