サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「肉体美とゴミ拾い」久保建英の進化はスーパーゴール、ドリブルだけでなく…「(大災害に)心苦しいです」カメラマンが見た日本代表FWの人間味
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/11/07 17:00
今季3ゴール目を決めた久保建英。勝利を呼び込むスーパーゴール以外にも彼の人間味が見える一戦となった
技術があるだけに、左足に持ち換えるプレーを選択しがちだったように感じていたが、縦への突破を見せることがカットインの効力を強め、ゴールへの道筋を簡単にしていた。
“えぐるドリブル”がターニングポイントに
さらに25分に久保が見せた“えぐるドリブル”が、この試合のターニングポイントにもなった。
試合全体を振り返る。序盤は主導権の握り合いが行われ、大きな展開なくゲームは進んでいた。その中で25分の久保のプレーは鋭く、対応したスタニス・イドゥンボは負傷後退を余儀なくされ、セビージャへ文字通りのダメージを与えた。そんなゴールへ向かう久保の姿勢が、チームの攻勢を強めるきっかけとなり、34分の先制点につながる。
ゴールセレブレーションを終えた久保に指揮官イマノルは「マス、マス(スペイン語でもっともっと、の意)」と、どんどん攻撃を仕掛けていけと指示を送っている。
勢いに乗るチームは、終了間際にも久保を起点に得点チャンスを作り出した。久保は右サイドでパスを受けると、カットインを警戒する相手を嘲笑うかのように、左アウトサイドでクロスを送り込む。ミケル・オヤルサバルのシュートは、惜しくも枠を捉えきれなかったが、大きな得点チャンスだった。
さらにセルヒオ・ゴメスとのパス交換を繰り広げ、最終的にルカ・スシッチのミドルシュートをお膳立てしている。
ユニをプレゼント、ゴミを拾い、災害に心を痛めて
後半はビハインドのホームチームが勢いを取り戻したが、68分に得たPKをオヤルサバルがしっかりと決め、追加点を奪った。久保は、相手との接触により強く痛みを見せるシーンもあったが、無事プレーを続け、80分にお役御免でピッチを退いた。チームはしっかりリードを守りきり、2-0の勝利を手にした。
バックスタンド側からピッチを出た久保は、ファンへユニフォームをプレゼント。均整の取れた上半身裸のまま、ピッチ上に落ちているゴミを拾いつつベンチへ戻る際には、熱狂的なゴール裏の子供サポーターからも声がかかっているようだった。
ゴールだけでなく、チームの攻撃を牽引した久保は、この試合のMVPに選ばれており、試合後のフラッシュインタビューに対応した。