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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「みんな“指名漏れ”ばかり話題にするけど…」あるスカウトが語った慶大・清原正吾の“本当の功績”とは? 「野球界にすごく大きなものを残した」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/11/06 17:02
ドラフトでは惜しくも指名漏れとなった慶大・清原正吾選手。一方で、あるスカウトは彼が日本の野球界に与えた功績について語ってくれた
野球というスポーツは、子供の頃から野球一筋でやってこないと、上でついていけない。そんな「思い込み」をされていることはないだろうか。
「そういう思い込みを、清原君が吹き飛ばしてくれたとしたら……彼は野球界にものすごく大きな功績を残したことになりませんかね。野球なんて、そんなに難しいスポーツじゃないですよ、20年以上やっていた私が言うんだから、間違いない。
ほかのスポーツの土台さえあったら、高校からでも大学からでも始められる。ちっとも遅くありませんよって、清原君が証明してくれたんじゃないですか」
「大学から野球にチャレンジ」が普通になれば…?
そばでその話を聞いていた高校野球の関係者が、「そうですとも!」と手を打つ。
「ウチの高校でも、バスケをやっていた子が、『自分、背が低いんで、大学ではやりません』ってションボリしている。でも、僕ら野球の指導者から見れば、180cmの身長があって、運動神経と全身のバネが抜群で、『こいつ、野球やんないかな』ってずっと思っていた。
そういう選手が、大学から『今度は野球にチャレンジしてみる』というのが普通のことになってきたら……『高校野球にこんなのいたか!』みたいなね。清原君みたいな存在が出てきますよ、きっと。そうしたら彼は、その先駆者になるわけだ。そうなるためには、大学の野球部のほうも『アスリート枠』っていうのを作ってもらって、高校生が大学でも他のスポーツを続けていけるような可能性を作ってもらってね」
話はどんどん明るい方向へ広がっていく。
良くないことは何もないはずだから、この流れは本当に現実になりそうな予感すらしてきた。
それもこれも、2024年という年の学生球界に「慶應義塾大の4番打者・清原正吾」というパイオニアが存在してくれていた、そのおかげに違いないのである。