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藤井聡太22歳は「タイトル戦4年で不戦敗なし」ただ出産前の福間香奈女流五冠が…元A級棋士が見る“棋士の休場”「大山康晴名人は鉄人だった」
posted2024/11/07 06:00
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
日本将棋連盟
女流棋界の最高峰のタイトル戦であるヒューリック杯白玲戦(西山朋佳白玲ー福間香奈女流五冠)で、体調不良による対局延期や不戦敗が相次いだ。また、福間は出産を控えて11月17日から休場することになり、ほかの女流タイトル戦にも影響している。女性ならではの事情だけに、主催する日本将棋連盟や協賛社、各自治体はその措置に苦慮している。それに関連してプロ棋界における不戦敗や休場の対局規定について、田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書は当時/初出以降は省略】
出産間近、コロナ…白玲戦での事態
ヒューリック杯第4期白玲戦七番勝負で、西山朋佳白玲(29=女王・女流王将を合わせて女流三冠)に対して福間(旧姓・里見)香奈女流五冠(32=清麗・女流王座・女流名人・女流王位・倉敷藤花)が挑戦者になった。女流棋界の二強が3年連続で激突した。2022年は福間、23年は西山がそれぞれ白玲を奪取している。
白玲戦の対局(持ち時間は各4時間)に先立って、12月に出産が予定されている福間女流五冠から、テーブル・椅子での対局と和服非着用の要望が出された。主催する日本将棋連盟とヒューリックは、医師の診断、指導に基づいて協議した結果、母子の健康保持のために、福間の要望を特例で認めることになった。
白玲戦第1局は8月31日に東京都港区のホテルで行われた。形勢が二転三転する激闘の末に、終盤で福間の疑問手が響き、西山がきわどく勝利した。
第2局は9月14日に鹿児島県指宿市の旅館で行われ、福間が寄せ合いを制して勝った。第3局は9月21日に奈良県奈良市の旅館で行われ、福間が攻め切って勝った。
第4局は9月28日に石川県金沢市のホテルで行われる予定だった。しかし、西山はその数日前に新型コロナウィルスに感染した。主催者らで協議した結果、対局を延期することになった。
代替えの第4局は10月12日に京都府京都市のホテルで行われ、西山が勝って対戦成績を2勝2敗の五分とした。福間は終局後に「体調に気をつけて頑張りたいと思います」と語った。
「日程調整が難しく」不戦敗による防衛
福間女流五冠は10月4日、2024年11月17日から25年2月12日まで出産のために休場すると、将棋連盟を通じて公表した。
福間はその状態でも、10月5日の霧島酒造杯第46期女流王将戦三番勝負第1局、10月23日のリコー杯第14期女流王座戦五番勝負第1局で、いずれも西山女流三冠に勝った。しかし、それ以降は体調不良によって対局は困難となった。