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「これは誤審ではないか?」“疑惑の軍配”に翔猿の本音…「(相撲は)いや、楽しくはないですよ」人気急上昇中、32歳力士の無骨な素顔 

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byHirofumi Kamaya

posted2024/11/05 17:00

「これは誤審ではないか?」“疑惑の軍配”に翔猿の本音…「(相撲は)いや、楽しくはないですよ」人気急上昇中、32歳力士の無骨な素顔<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

バラエティ番組への出演などで注目度も上がっている翔猿

 殊勲の星を挙げてインタビュールームに呼ばれることも増えたが、アナウンサー泣かせでもあるのが翔猿だ。

「そうっすね」「はい」「そうっすね」淡々と受け答え、多くは語らない。早々に自らインタビューを切り上げてしまうことさえある。

 この素っ気なさが、一部の相撲ファンのあいだでウケている。

「だって、その日一日のことじゃないですか。相撲はまた次の日もあるわけだし、そうべらべらと喋れるものでもありませんよ。これが最終日ならまだしも、ね」

「相撲で大学に進むか、保育士になるか…」

 秋巡業も半ばを迎えた10月中旬。

 過密なスケジュールで疲労の色も濃い力士たちが多いなか、絶えず体を動かし、ひたすら汗をかく翔猿の姿があった。

 日々移動する巡業中は筋力トレーニングができないゆえ、基礎運動に徹しているという。

「あ! トビザルだぁ~!」

 子どもたちが寄ってくると、動きを止めて握手をし、記念撮影に応じ、ファンサービスを厭わない。テレビのバラエティ番組に出演する機会も増え、認知度と人気が急上昇中でもあるのだ。

「確かに声を掛けてもらえることが多くなりましたよね。もともと子どもは好きなんです。高校生の時に、相撲で大学に進むか、専門学校に行って保育士になろうか迷ったくらいですから」

 子どもたちの背丈に合わせてかがみこみ、頭を撫でてやさしげな視線を送る。満面の笑みで頬を緩ませていた。

 そんな翔猿が、顔を引き締めた。

「いつまでも上位陣をかき回す存在ではなく、自分も上に行きたいですよ」

 最高位は東小結で、3度小結を経験したが勝ち越しは叶っていない。

 まずは三役に復帰したいところだが、今後の目標を訊ねると、迷うことなく即答した。

「大関になります。目指してます」

 32歳の翔猿は、自らに言い聞かせ、己の心に刻み込むように、その一言に力を込めた。

翔猿Tobizaru

1992年4月24日生、東京都出身。日本大卒業後、追手風部屋に入門し、'15年1月場所で初土俵。'20年9月場所で新入幕、'22年11月場所で新三役。敢闘賞、殊勲賞を各1度受賞。173cm、135kg。

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