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オリンピックへの道BACK NUMBER
「伝える側になれたら面白いなと」競泳・今井月(24歳)が引退後に明かした“今後のキャリア”本音…「あの取材はイヤだった」経験も生かしたい
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTsutomu Kishimoto/PICSPORT
posted2024/10/31 11:01
リオデジャネイロ五輪に出場するなど活躍した競泳の今井月。引退発表後の思いと今後のキャリアについて明かした
「メディアに追われる立場」だったからこそ
その後も中学生の頃に大手企業がスポンサーにつくなど、寄せられる期待は大きく、おのずと注目も集め続けた。いわば「メディアに追われる」立場にあった。
「若い頃はもちろん、うっとうしいなと思っていたときはあります」
ただ、競技生活を振り返ったとき、注目されることの意味をあらためて思った。
「これまでいろいろな人に応援していただいたり、水泳選手としての今井月という存在を知ってもらったりしたのは、やっぱりメディアによってだと思います。
本当にちっちゃい頃から取材してくださっている方とは、本当に家族みたいに仲良くさせてもらって、結果が出ているときだけじゃなく、困難を乗り越えていく姿も取り上げていただいたので、本当の自分を伝えてもらえていたような気がします。それに心を動かされたって言ってくださるファンの方もたくさんいました。『応援したくなりました』とか『頑張りを見て勇気をもらえました』とか、そういう言葉がまた自分の原動力になる部分があったので。自分がパワーをもらうためにも、本当の自分やいろいろな姿をリアルに伝えてもらうことは大きかったです」
「ああいう取材はいやだったな」の経験も生かしたい
伝えてもらう重要性を知り、また中学1年生の日本選手権前のような経験もしている。メディアの世界に身を置くことでその両面をいかせるとも考えている。
「伝えてもらうことの魅力も、いやだったことも、肌で、身をもって感じてきました。経験をいかして、自分にしかできない、相手に寄り添った伝え方だったり、取材の仕方というのができるんじゃないかなって思うんです。『ああいう取材はいやだったな』とか、それこそいきなり目の前にカメラがいたときはこういう気持ちだったというのが分かるからこそ、伝える側になれたら面白いんじゃないかな、と。それでも、現役のときはメディアに伝えてもらうことの重要性ってなかなか考えられないじゃないですか。メディアと選手をうまく橋渡ししてくれる人がいるといいなと思っていて、それも伝える側に立ちたいと思った一つの理由です」
加えてこう語る。
「漠然としてますが、スポーツというジャンルで括るのではなく、色んな事をどんな形でも『伝える』という事に挑戦してみたいです。
どんなにすごい選手でもいつか現役を退く時が来るし、私はそれが今だったからこそ、今まで自分が頑張ってきた事を言語化できたり活かせないと、これまで頑張ってきた自分にも失礼だと思ったので、セカンドキャリアにも真剣に向き合いました。変なプライドは捨てて、やったことのないことにも挑戦する期間や、社会人の先輩にいろんな話を積極的に聞きに行ったり、有意義な時間を過ごしていました」