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オリンピックへの道BACK NUMBER
“天才少女”と呼ばれた水泳界の逸材が24歳で引退「パリ五輪に行けなかったら辞める、と決めていた」今井月が告白した“決断の理由”
posted2024/10/31 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Tsutomu Kishimoto/PICSPORT
9月26日、競泳の今井月がSNSで現役引退を発表した。
「3才の誕生日に水泳を始めて、当たり前に日常にあった水泳で日本一になりたくて、オリンピック選手になりたくて、小さなスイミングスクールで毎日必死に努力してきました。小学生の頃は泳げば学童記録が出せたり、初出場した日本選手権では3位になり、15歳でオリンピックという夢を叶えて、順風満帆な競技人生でした。」
挨拶の言葉の中にあるように、オリンピックや世界選手権に出場するなど長年にわたり活躍。パリ五輪こそ出場できなかったものの、ここからの活躍にも期待が集まる中、退くことを決めた。
8月に24歳の誕生日を迎えた今井が引退を決意した経緯と理由、そしてあらためて競技生活を振り返り、胸中を語った。
◆◆◆
“8年ぶりの五輪出場”は叶わなかった
「きっぱり決めて、決めたことに後悔はないですね」
引退という決断について、今井月はこう語る。
今井は12歳だった中学1年生のとき、日本選手権200m平泳ぎで3位となって大きな脚光を浴び、高校1年生だった2016年、15歳でリオデジャネイロ五輪に200m個人メドレー代表として選出され、世界選手権には2017年(200m個人メドレー)、2023年(200m平泳ぎ)と出場した。平坦な道ではなかったが、長きにわたり、競技に打ち込んできた。
今年3月の選考会では8年ぶりの五輪出場を目指したが、200m平泳ぎで3位となり、もう少しのところで代表入りはならなかった。
それから7カ月。進退について考えが固まっていった時期を語った。
「いつぐらいだったんだろう。思い返してみたら、4月、5月くらいの段階で、今後何をするのか考える時間にできたらと自分の中で思っていて、それを探す期間にしていたというか。その期間に就職活動も行ったりしました」