- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
高校No.1投手・今朝丸裕喜“阪神2位指名”のウラ側で…「ライバルで親友」報徳学園“もうひとりのエース”が見たドラフトの内幕「指名の瞬間は…」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byJIJI PRESS
posted2024/10/27 11:00
ドラフト会議で阪神から2位指名を受けた報徳学園の今朝丸裕喜。歓喜の一方で、今年の同校には「もうひとりのエース」がいた
2人が1年生の秋、公式戦のエース番号は2年生の盛田智矢(現・青学大)が背負い、今朝丸が背番号10、間木が背番号11。先発・リリーフなどあらゆる役目をこなし、秋の近畿大会、そして翌春のセンバツでは準優勝。期待された夏の県大会は5回戦で敗れたが、今朝丸と間木のダブル右腕が柱となる新チームは、周囲からの期待が高かった。
間木は、チームのキャプテンにも任命された。
特進コースに所属する間木は、平日は7限の授業を受けるため練習に合流できるのは早くても16時を過ぎてから。さらに土曜日にも授業があるため、練習試合も日曜日しか参加できない。
間木が不在の間はセンターを守る副キャプテンの福留希空が練習を取り仕切る役目を担い、いわば“ダブル主将”のような体制を敷いていた。
大角健二監督は、間木をキャプテンに指名した理由をこう明かす。
「下級生の時から先輩に対してはっきり意見を言える精神力の強さがあったからです。普段のミーティングでも自分の意見を言えますし、腹の括り方がいつも冷静なんです」
2人にとって3年目のセンバツの背番号は、間木が「1」を背負った。
しっかり者の主将をエースに立て、チームは2年連続のセンバツ準優勝も成し遂げた。
だが、4月末に県大会準々決勝で東洋大姫路に1-5で敗れた直後に、キャプテンをこれまで“現場リーダー”だった副キャプテンの福留に交代することを指揮官に告げられる。
センバツ準優勝もキャプテン交代…そしてライバルの台頭
当時を間木はこう回顧する。
「キャプテンは、実際に大変でした。辞めたいと思うこともありましたし、(副キャプテンだった)福留に練習は任せていたので、周りも(キャプテンは)福留の方がいいんじゃないかって冗談交じりで話していたこともあったんです。僕はそれを真に受けて、『本当に代わった方がいいんじゃないか』と思うこともありました。だから5月でキャプテンを交代したのは良いタイミングだったと思うんです」
キャプテン交代にネガティブな感情は全く抱かなかった。むしろ、投手の練習に集中できる。夏への猛練習に向け、そう思いを新たにした。
一方で、隣にいるライバルの存在が、徐々に大きくなっているのを感じていた。
<次回へつづく>