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甲子園の風BACK NUMBER
高校No.1投手・今朝丸裕喜“阪神2位指名”のウラ側で…「ライバルで親友」報徳学園“もうひとりのエース”が見たドラフトの内幕「指名の瞬間は…」
posted2024/10/27 11:00
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
JIJI PRESS
10月24日に行われたドラフト会議。
報徳学園の今朝丸裕喜が阪神から2位指名を受けると、同校の会場に並んだチームメイトたちの大歓声が響く。その後、グラウンドでテレビカメラやスチールカメラの光を浴びながら今朝丸の胴上げが始まった。
仲間にもみくちゃにされながら輪の中で見せた今朝丸の満面の笑みが、間木歩の目には羨ましくも、眩しく映った。
「指名の瞬間は、2位というより“阪神なんや”って。ホンマに良かったなって思いました」
クールな表情を見せるも、高揚気味だったのか間木の声が弾んだ。
地元の、しかもチームメイトが「阪神だったらいいな」と話していたところでの上位指名。大騒ぎする仲間の中で、間木は輪の後ろで今朝丸の姿を静かに目で追っていた。
報徳学園「ダブルエース」だった今朝丸と間木
今朝丸とダブルエースとしてマウンドを分け合い、共に過ごしてきた2年半。3度、聖地に立ち、どんな時も隣にいた。天真爛漫でどこか天然なところがある今朝丸に対し、クレバーで落ち着いて物事と向き合える間木。キャラクターは対照的だが、取材に訪れるたびに2人は練習時や移動時、食事の時もいつも一緒に行動していた。練習がオフの日は一緒に出掛け、時に今朝丸の家に間木が泊まりに行くほど親交が深い。
性格は真逆。同じ投手でライバル同士だが、今朝丸とは“親友”のような間柄だ。
「世の中ってないものねだりみたいなところがあるじゃないですか。お互いにないところがあって、あるところがない、みたいな。僕と今朝丸がまさにそんな感じだったので、うまくはまったんじゃないのかなって思うんです」
2人の関係性を、間木はこう語ってくれたことがある。性格が対照的だから分かり合える部分、そしてリスペクトし合える部分が多いのだという。
2年前の春。共に報徳学園の門をくぐった今朝丸とは、実は出会った時から意気投合していた訳ではなかった。
「実は今朝丸がいたグループの中に、自分とはあまり合わないヤツがいて(苦笑)。それで自分からはなかなか話しかけづらくて」
今朝丸は入学してすぐにAチームに帯同していたため、Bチームにいた間木とは最初は練習を共にすることはなかった。一緒にAチームで汗を流すようになったのは1年生の夏が終わった直後の新チームから。
その頃から徐々に会話が増え始め、互いの内面も知り合うようになっていった。