メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平を褒めまくるジャッジ…その本音は? 4カ月前のドジャース戦後、NY記者に苦笑いした理由「ワールドシリーズで対戦できたらすごいことだね」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2024/10/26 06:54
米メディアも注目するジャッジvs大谷の夢対決。両者にとって初となるワールドシリーズは、どんなドラマが待っているのだろうか
「今の彼はコンプリートヒッターだ。2018年にメジャーに来て以降、何年もの間、彼は向上し続け、パワーの面で優れた数字をマークするだけではなく、3割を遥かに超える打率を残すようになった。その背景として、打席での球の見極めがよくなっている。最も大きいのはやはりストライクゾーンをコントロールしていることだ。ストライクゾーンの中でボールを捉えていて、甘い球が来たら逃さない。捉えたらとてつもない距離を飛ばしてしまう。トミー・ジョン手術のリハビリをこなしながらそれをやり遂げているのはすごいことだ」
“ストライクゾーンをコントロールする”という言葉を聞いて、ピンと来たドジャースファンは多いのではないか。
ドジャースのデイブ・ロバーツ監督も序盤戦から、特に走者を置いた場面での大谷は“ストライクゾーンをコントロールすることが大事”と繰り返し語ってきた。今季はそれができているからこそ、打率のアップと本塁打量産の両方が可能になったのだろう。ワールドシリーズを前に、大谷との対戦では通算6打数1安打1本塁打のヤンキースのリリーフ左腕、ティム・メイザも同じことを語っていた。
「翔平はボール球に手を出さなくなった。あれだけの打者だから少々ボールの球でも打とうと思えば打ててしまう。ただ、最近では外に外れるスライダーなどには手を出さなくなって、おかげで確実性が上がったのだと思う」
ジャッジも認める“コンプリートプレーヤー”
メイザの言葉通り、恵まれた体格と並外れたパワーを持った大谷は少々ストライクゾーンから外れた球でも痛打できてしまう。それも投手にとっては怖いことかもしれないが、ミスショットが増えるのだとすればやはり諸刃の剣。その点が改善された大谷は昨季に続いて今季も打率3割を打ち、同じくハイアベレージを残したジャッジ同様、より隙のない打者に成長したといえるのだろう。
「引っ張ることもあれば、反対方向にも打てるから、守る側としてもどの位置で守ったらいいのかもわからない。それに加えてスピードも持っていて、内野手が下がって守ったらバントまで決めてしまう。守備でミスしたらもう間に合わなくなる。コンプリートプレーヤーだよ。それだけ多くのことができた上で、本塁打でも200号に到達というのは見事としか言いようがない」
7月中旬、メジャー通算200号に達した大谷について話した際も、ジャッジの賞賛の言葉は止まらなかった。自身と同列に語られることも増えた“現代のベーブ・ルース”に対し、熱いリスペクトを抱いていることは間違いない。