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「PFP1位を狙うなら井上尚弥を倒すしか…」26歳中谷潤人“完璧なKO”に冷静な英国人記者も絶句「(中谷が)負ける姿は想像できない」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2024/10/17 11:02

「PFP1位を狙うなら井上尚弥を倒すしか…」26歳中谷潤人“完璧なKO”に冷静な英国人記者も絶句「(中谷が)負ける姿は想像できない」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

異例の2日間興行の“大トリ”を務めた中谷潤人(26歳)。バンタム級の中でも別格の存在感を放った

 中谷は統一戦希望を明言しており、拓真戦がなくなった後でも、すべて日本人選手である他の王者たちのいずれかと戦えればそれがベストなのでしょう。

 武居由樹、西田凌佑、堤という対抗王者の中でも、拓真を撃破した堤は鮮烈な印象を残しました。試合前、私は拓真の判定防衛を予想していましたが、堤は精力的に攻めることでアウトボクシングが得意な王者を打撃戦に巻き込んだのです。

 打ち合いに応じたのは拓真側の意図でもあったのかは分かりませんが、そうだとしたら間違ったプランだったと思います。ともあれ、ハードパンチを数多く出せる堤は、拓真とのハイレベルの戦いの中で、最後まで攻め抜くことで次第にファンを味方につけていったような印象もありました。

英国人記者を驚かせた堤のスタミナ

 あれほどのペースで手を出し続けたのは驚異としか言いようがありません。試合中盤ごろ、私は知人と「このまま最後まで攻め切れるわけがない」といった話をしていたほど。

 日本のプレッシャーファイターたちのスタミナは本当に見事です。堤の長所は積極的な姿勢、手数の多さ、意志の強さ。そんな新王者が中谷との統一戦に向かえば、中谷対拓真ほどの分かり易いストーリーラインはないとしても、特に日本では多くのファンに支持されるビッグファイトになるのでしょう。

 しかし、堤の陣営がすぐに統一戦を望むかはわかりません。

 拓真戦での堤があれほど攻め抜けた背景として、拓真が強打者ではないという点が大きかったと思います。中谷相手に同じように攻めれば、少しでもミスを犯した時、激しく痛めつけられます。

 このマッチアップは中谷が断然優位。堤の強打を浴び、その打たれ強さが実は一定以上ではなかったと示されるような展開以外、中谷が負ける姿は想像できません。だとすれば、ついに世界王座に辿り着いた後で、不利の予想が出されるはずの中谷戦にいきなり向かうより、堤側が何度か防衛戦をこなしたいと考えるのは当然ではあります。

【次ページ】 「来年に井上尚弥戦の実現を…」

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