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木村“フィリップ”ミノルの逮捕に思う「格闘技のイメージは過去最悪」なぜ醜聞があとを絶たないのか? しわ寄せは“大多数の真面目なファイター”に
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2024/10/14 17:01
大会出場2日前に大麻取締法違反の疑いで逮捕された木村“フィリップ”ミノル。いま、多くのスキャンダルが格闘技界に悪影響を及ぼしている
大会のメインイベントを飛ばされ、もう笑い飛ばすしかなかったのだろう。ドーピングを含めると3回目なだけに、YA-MANはバッサリと木村を斬り捨てた。
「人として終わっている。(薬物は)マジで一番嫌い。もう木村とは関わるつもりはない」
YA-MANは父親が違法薬物に手を出し逮捕された過去を持つ。それだけに、薬物は周囲の人間の人生をも狂わすと身を以て知っている。
逮捕者続出…格闘技のイメージは「過去最悪レベル」
木村だけではない。最近は格闘家や、その関係者が逮捕されるニュースをよく目にする。木村逮捕の報が駆けめぐった当日の10月3日には、かつてPRIDEで活躍したエンセン井上が、麻薬成分入りのチョコレートを輸入したとして執行猶予付きの有罪判決を下された。エンセンは2008年10月18日にも大麻取締法違反で逮捕されており、その後懲役10月、執行猶予3年の判決が言い渡されている。
公になった醜聞はそれだけでは収まらない。9月29日には「集英社オンライン」で、同日の『RIZIN.48』に出場した萩原京平が元妻に対してのDVで6月に逮捕されていた、と報じられた。
不祥事の枠をBreakingDownにまで広げると、さらに増える。9月、同イベントの運営会社の元代表ら3人が、スマートフォンの売買事業に絡む詐欺容疑で逮捕されたことは記憶に新しい。出場選手に関していえば、暴行や恐喝などの容疑で10名以上の逮捕者が出ている。主催者側は「逮捕された者は無期限の出場停止にし、警察OBや弁護士で構成されたアドバイザリーボードに面談してもらう体制を整える」としているが、それだけで本当に歯止めがかかるのか。大会のあり方そのものを再考する時期に来ているのではないか。
とはいえ、ここでBreakingDownの是非について議論するつもりはない。どんな舞台であっても、闘っている者(たとえ素人であっても)、あるいはその関係者が問題を起こすと、世間は十把一絡げに「ああ、やっぱり」という反応を起こしてしまう。結果的に、格闘技界や格闘家へのイメージは「過去最悪」といえるほどのレベルにまで悪化している。