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「大谷君の反応を見ながら」ダルビッシュ有、大谷翔平を料理した14球が芸術品…38歳長期離脱も“ボール投げ込み騒動”も平然の投球デザイン名人 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO

posted2024/10/07 19:30

「大谷君の反応を見ながら」ダルビッシュ有、大谷翔平を料理した14球が芸術品…38歳長期離脱も“ボール投げ込み騒動”も平然の投球デザイン名人<Number Web> photograph by USA TODAY Sports/REUTERS/AFLO

打っても走っても相手にとって脅威の大谷翔平をこれだけ完璧に料理できる。38歳のダルビッシュ有が見せた投球はまさに芸術品だった

 第1打席前、2人の「一瞬の対面」が美しかった。軽くヘルメットのつばに手をやって会釈した大谷翔平に、ダルビッシュは口角を少し上げて笑顔で返す。ともに日本ハムの「11」を背負った仲でもあり、侍ジャパンのチームメイトでもあったが、「よろしく」「容赦せえへんで!」という真剣勝負の意気込みが伝わった。

 しかしダルビッシュの配球は本当にすごかった。素直な真っすぐなどはほとんどないのだ。大谷翔平だけでなく――観ている我々まで幻惑されるような球を投げていた。

 2人の対戦をMLB公式サイトの「GameDay」から再現する。

・1回裏 無死走者なし
 1球目148.7km/h内角低めカッター:ボール
 2球目119.7km/h内角地面すれすれカーブ:ボール
 3球目134.5km/h真ん中低めスイーパー:見逃しストライク
 4球目152.6km/h内角低めフォーシーム:空振りストライク
 5球目140.3km/h外角低めスライダー:空振り三振

・3回裏 1死走者なし
 1球目143.4km/h外角低めスプリッター:ファウル
 2球目144.5km/h外角低めスプリッター:ボール
 3球目135.3km/h真ん中地面すれすれスイーパー:ボール
 4球目141.8km/h外角低めスプリッター:一塁ゴロ

・6回裏 無死走者なし
 1球目118.1km/h外角低めカーブ:ボール
 2球目139.9km/h内角やや中スライダー:ファウル
 3球目116.8km/h内角地面すれすれカーブ:ボール
 4球目141.8km/h真ん中低めスプリッター:空振りストライク
 5球目149.7km/h内角地面すれすれカッター:ボール
 6球目117.5km/h真ん中外寄りカーブ:投ゴロ

球種も攻め方も全く違う。オーソドックスに低め勝負

 1度目と2度目の対戦では球種も攻め方も全く違う。ストライクゾーンではなく、むしろボールゾーンをうまく使うことで、大谷に狙い球を絞らせていない。

 打ちたい思いに逸る大谷に、打っても安打にならない球を振らせるために、捕手のカイル・ヒガシオカともども、知恵を絞った印象だ。

 安打、本塁打になりそうな投球は第3打席、6回表の2球目のスライダーくらいだろうか。

「フライボール革命」以降、すくい上げる打法に変わった打者に対応するため、MLBの投手は高めの球で勝負するようになった。しかし大谷はボール球になるような高い球であっても抜群の膂力でスタンドインしてきたのだが、この日のダルビッシュはオーソドックスに低めにボールを集め、大谷を見事に料理した。

 まっすぐは第1打席の4球目だけ。それも内角の厳しいコースで、大谷はファウルするのが精いっぱいだった。

〈大谷君の反応を見ながら投げていきました〉

 試合後、NHKのフラッシュインタビューでダルビッシュはこのようなコメントを残している。

【次ページ】 大谷の前に走者を出さないことも意識

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