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「下着をハサミで切って、真っ裸にさせられ…」女子レスラー初の“オールヌード写真集”も、井上貴子のプロ意識「私にとっては“作品”です」《全女BEST》
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byL)AFLO、R)Takuya Sugiyama
posted2024/09/23 11:01
今年デビュー35周年を迎える女子プロレスラーの井上貴子
「下着をハサミで切って、真っ裸にさせられて…」
――「これは無理!」と根を上げた撮影はありますか。
貴子 あるよ。吊るされたの。
――「KINBAKU」(03年10月)ですね。その名の通り緊縛、SMがテーマの。逆さ吊りされていましたよね。
貴子 あれはね、その場で決まったの。田口が言ったんですよ。撮影場所だった日本家屋の欄間のようなところを指して、「ここから吊るすのはどう?」って。「やめてよー」とか、最初は冗談ぽく返してたんだけど、「ちょっとやってみる?」となった。現場には、杉本彩さんの映画「花と蛇」で中心になってた有名な緊縛師(有末剛)が来てくれてたんですよ。縛るのがすっごい早いの、シュシュシュって(笑)。その人が、私が下着(パンティー)みたいなのを着けた状態で両足首を縄で縛って、スタッフ何人かで私を(逆さに)持ち上げて、カメラマンの説明があったあとにいったん降ろして、その瞬間に下着をはさみでチョンチョンって切って、真っ裸にさせられて、吊り下げられるっていう。何秒もぶら下がっていられないほどつらくて。「もう無理、無理!」って言って、シャッターを押されたのは2回だけ。
――その1枚が、掲載されたカットだったんですね。女子プロレスラーは痛みに強いと思いますが。
貴子 ぜんぜんっ! こ~んなにキツいんだっていう感じ。
試合中の“ファンの撮影”への思い
――それでも、挑戦はしたいという気持ちが勝るんですか。
貴子 やっぱりね、評価されるとうれしいから。パブで載せた週刊誌の人気ランキングで、「上位だった」とか「1位だった」とかって聞くと、人って欲が出るからさ、次もやろっかなぁってなっちゃう。
――男性ファンはどんな気持ちだったんだろう。卑猥な内容のファンレター、局部狙いのカメラ小僧が増えたとか、そんな変化はありましたか。
貴子 これは私がおかしいのかもしれないけど、いやらしい写真を撮られたくないんだったら、プロレスを辞めたらいいじゃんって思っちゃうんだよね。だって、露出が高い格好で試合をして、リングでは360度グルリと囲まれているから、(選手が)足を開いた側に座ってるお客さんもいるわけですよ。プロレスで、足を開かないわけにはいかないからね。今ってSNSですぐに上げられてしまうから、嫌な人は嫌かもしれないけど、私たちの時代は、写真を撮ったその人、その仲間だけが楽しんでるものだから。世には出ないからいいやって思ってました。