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「次は四肢が麻痺するよ」医師は告げた…41歳で2度目の引退→銀座スナックのオーナーに、クラッシュ・ギャルズで一世風靡した伝説レスラーの現在《全女BEST》
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/09/19 11:02
プロレス引退後の現在は銀座で会員制スナックを経営するライオネス飛鳥さん
引退後に始めた「銀座のスナック」は18周年
――当時は、次の職場を考えた引退だったんですか。
飛鳥 いや。40歳のころからは試合が土・日しかなかったから、友達が銀座でやっていた夜のお店を手伝ってたけど、辞めたあとはどうするかは考えてなかった。そこはね、プロレスラーの浅はかさ(笑)。ただ、引退をしっかり決めたとき、「自分でお店をやろう!」となったかな。銀座の街で多くの人脈を培ったし、今後食べていくには自分でやるしかないなと。
――独立して会員制スナックをオープンしたとき、ライオネス飛鳥のネームバリューは通用しましたか。
飛鳥 最初はしてた。「プロレスラーがお店を出したんだって」って。でも、よっぽどのファンじゃない限り、どっちが千種でどっちが飛鳥かわかんないみたい(笑)。若いホステスさん、それこそ小学生や中学生のころに観てた世代の子なんかは、「ダンプ(松本)ちゃんの印象が強い」って言うの。えっ、一緒に闘ってましたけど……みたいな(笑)。
――インスタグラムによると、お店は今年で18周年を迎えたとか。
飛鳥 そう。独立して18年で、銀座に来て20年。あぐらをかいてしまったら足をすくわれるって、銀座の街に足を踏みいれてからずっと考えてるよ。人を雇うこと、店を継続させること、若い子が入ってきたら育てないといけないとか、悩み事は常にある。プロレスの世界だったら、できない人は落ちるしかないと、そういう育ち方をしてきたけど、今の若い子はそれじゃ育たないのね。甘やかすでもなく、ちゃんと聞いて、対話して、納得させないといけないから。
クラッシュ復活は「あの頃の元少女たちと一緒に」
――夜の街は、3年ほど前のコロナ禍で大ダメージを負ったのではないかと思いますが。
飛鳥 「お茶っぴき」といって、1人もお客さんが来ない日は、幸いにもこの18年間で1日もないから、それを継続させていきたいし、プロレスと同じで、長年かけて作りあげた城は守らないといけないと思ってる。従業員のためにも、お客さまのためにも。
――7月の誕生日で還暦(60歳)ですね。10代からは女子プロレスラーとして、40代からは経営者として過ごした自分の人生を、どう思いますか。
飛鳥 16歳のときに全女に選んでもらってからの人生って、ほんとに恵まれてる。それに尽きるね。けど、「もう」じゃなくて「まだ」60歳という感覚でいたいです。あと、今年はクラッシュが40周年で、千種と「新しいことをやりたいね」って、「あのときのようにブチかまそうぜ!」っていう気持ちが固まってるから、今はこっちの楽しみもある。自分たち、そしてクラッシュ・ギャルズを応援してくれていたあのころの小学生、中学生、高校生だった元少女たちと一緒に、あのころに戻れる場を一緒に作りあげられればいいなって思ってます。そのために今ね、筋トレやってるよ!