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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「ドヘニーの増量は間違っていなかったけど…」元世界王者・岩佐亮佑が読み解く井上尚弥の将来図「アフマダリエフが“塩試合”に持ち込めれば」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/09/10 17:02
ドヘニーの増量ばかりが喧伝されたが、岩佐の目からすると井上の体もスーパーバンタム級としては大きかったという
リカバリーで増えているのは、筋肉の水分
「基本的にボクサーのリカバリーは、大食いなどしません。水分も取り過ぎないように意識しながら体に入れています。仮にたくさん食べて、飲んでも、一気に体重は増えないです。まして、前日計量から試合当日までのわずか1日では脂肪もつきません。増えているのは、ほとんどが筋肉の水分。井上選手、ドヘニーともに当初からリカバリー後の体重を見越して体を作っていたはずです」
井上はスーパーバンタム級で、すでに4試合を消化。「フィットしている感覚はある」と122ポンドの体づくりにも手応えを得ている。来年の2025年まで同級に留まることを口にしており、次なる標的の名前も口にする。IBF・WBO世界1位のサム・グッドマン(オーストラリア)、そして元WBAスーパー&IBF統一王者で、現WBA世界1位のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)である。「どのみち、どちらともやるので」と近い将来、拳を交えることを示唆している。
ムロジョンは小手先がうまいけど…
岩佐はモンスターの対戦候補に挙がる一人の名前を聞くと、口元をふっと緩めた。自身も3年前の2021年4月に世界戦のリングで戦っているのだ。アフマダリエフには5回TKO負けを喫しており、その戦いぶりはよく知っている。
「いままで井上選手が戦った相手(スーパーバンタム級)の中では、小手先のうまさは一番あると思います。トップアマでオリンピックの銅メダリスト。持っている引き出しも多い。井上選手との技術戦は見てみたいです。ただ、ムロジョンはガンガン前に出てくるタイプ。個人的にはムロジョンに頑張ってほしいけど、打ち合いになれば、やっぱり当たり前のように井上選手が勝つでしょうね」
アフマダリエフが番狂わせを起こす可能性はないのか――。岩佐は少しばかり困った表情を見せながら、間を置いて口を開いた。