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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「ドヘニーの増量は間違っていなかったけど…」元世界王者・岩佐亮佑が読み解く井上尚弥の将来図「アフマダリエフが“塩試合”に持ち込めれば」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/09/10 17:02
ドヘニーの増量ばかりが喧伝されたが、岩佐の目からすると井上の体もスーパーバンタム級としては大きかったという
「ムロジョンは足が速くて、パンチのスピードもあるので、コツコツとポイントを取り、いつもの戦い方ではなく、逃げ回る“塩試合”をすれば、もしかすると、何かが起きるかもしれません。(来年の候補地に挙がる)アメリカのロサンゼルスでは、大ブーイングを浴びると思いますが……。ムロジョンには、良いところを見せてほしいです。(世界戦で)タパレス、ドヘニーと同じように戦ったことのある選手なので応援はします。自分が戦った相手が井上選手に挑んでいくのは誇らしく思いますね」
井上選手はまだすべてを出していない
もはや、スーパーバンタム級のトップファイターを見渡しても、井上とまともに渡り合えるライバルを探すのは困難な状況。メディアでも再三取り上げられているが、今後の興味は自ずとフェザー級への転向に向かう。岩佐も期待を膨らませていた。
「井上選手は、まだすべてを出していないと思うんですよ。基本的にいままでの自分のスタイルで、ずっと勝っていますよね。でも、僕らが見ていないだけで、知らない引き出しがあるような気がします。あの大きな筋肉を見ても、階級が上がるたびに閉めていた栓を少しずつ開けて、解放している感じですから。いったい、その先に何があるのかなって。フェザー級に上がれば、これまでのパンチでは倒せない敵が出てくるかもしれない。相手の耐久性も上がりますからね。そうなったときに例えば、足を使ったり、泥臭く戦ったりとか。あれもこれも、何でもできれば本当にすごいですよ」
井上本人の中でも、すでにフェザー級から逆算した体づくりは進んでいる。「現状維持では止まってしまう。何かを変えるべき」と自らに言い聞かせており、新たな取り組みがまた始まっているのかもしれない。大きくなっていくモンスターの進化を待っているのは、ファンだけではない。元世界スーパーバンタム級の先輩王者も心を躍らせていた。
「ここから何が出てくるのか、楽しみです」