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「あの頃はマジでキツかった…」ラグビー人生の絶頂にいた堀江翔太は、なぜ“ラグビーやめよう”と考えたのか? W杯8強につながるサンウルブズ始動
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/09/08 11:10
昨季限りで現役を引退した堀江翔太(38歳)。日本ラグビーの激動期を歩んだキャリアを振り返った
「僕は横へのパスやったと思ってます。あのあと、バーバリアンズのメンバーとしてイギリスに行ったんですけど、ちょうどサマーテストシリーズの南アフリカとウェールズ戦で同じようなシーンがあったんですよ。僕は『スローフォワードやな』と思ってたら、それはトライになってて。『なら、俺のもトライやん』って(笑)。
本当にそのときのレフェリーの判断とか、運も関係してくるのかなと思って。それでも、あれはあれで現場だったり、テレビで見てた人が印象に残るゲームができたかなと思ってる部分もあるんです」
幻となった「パーフェクトシーズン」
2008年以来、ワイルドナイツひと筋だった堀江。昨季はレギュラーシーズン全勝、あの決勝もパスが認められていれば、夢の「パーフェクトシーズン」が実現していた。
「負けて、いろいろ考えることあります。ワイルドナイツって、戦術の遂行力が高い選手が多いんですよ。だから、わりと型にはめてプレーするとうまいこと行くことが多かったんですけど、振り返ってみると、ウチのチームやったら、個人の判断で仕掛けていくラグビーをしても良かったんかなと思うんです。リーグワンでも、ウチくらいかなと思うんで、そういうラグビーができるの。仕掛けて、それが崩れた時に戦術の原則に戻って、遂行していくというね。そういう頭の柔軟性があっても良かったかなって」
一方、堀江はワイルドナイツのディフェンスの「デザイナー」だった。
「ディフェンスの原則、考え方。そういうのはずいぶん浸透してました。いつバレるかと思ってたんですけど、上手いこと行ってました。でも、上手いこと行ってたから保守的になって、ディフェンスで仕掛けることが少なくなってたかもしれませんね。そのあたりは反省点です」