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「井上尚弥はKOを焦るべきではない」米ボクシング誌編集長が期待するドヘニー戦の理想シナリオ「ドヘニーは過小評価されている」
posted2024/09/02 11:04
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
“モンスター”の2024年2度目のリング登場はどんな試合になるのか。
WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(大橋)は9月3日、有明アリーナでTJ・ドヘニー(アイルランド)の挑戦を受ける。バンタム級、スーパーバンタム級の2階級を統一し、5月には東京ドームで日本ボクシングの仇敵ルイス・ネリ(メキシコ)を6回KOで蹴散らした井上が再び強さを見せるのか。26勝(20KO)4敗という戦績を積み上げ、37歳にして3連続KO勝利中と絶好調のドヘニーが大番狂わせの主役になるのか。
興味深いタイトル戦を前に、米国で最も権威のある専門誌であるリングマガジンのダグラス・フィッシャー編集長に試合の展望、予想をじっくりと語ってもらった。かねてから井上の能力を高く評価するフィッシャー氏は、同時にドヘニーの底力も買っている模様。一般的に井上楽勝ムードの中で、“モンスター”が警戒すべき要素を詳細に語っていたのも印象的だった。
(以下、フィッシャー編集長の一人語り)
モンスターはどんな戦い方を選ぶのか
前戦のネリ戦の初回に不覚のダウンを喫した井上はその後、上手に立て直して6回TKO勝ちにつなげました。それを受けて迎えるドヘニー戦では、いったいどういったアプローチで戦いに臨むかというのが私の最も興味を持っている点です。
あのダウンは単なるまぐれに過ぎないと考え、通常通りに序盤からKOを狙っていくというのであればその選択をリスペクトします。そういった獰猛な姿勢こそが、“モンスター”を特別なボクサーにしているのでしょうから。
ただ、今戦での井上がより慎重かつテクニカルな形で臨み、流麗なアウトボクシングを見せてくれるとしたら、それもまた楽しみではあります。井上がいずれフェザー級に上げるとすれば、そのようなボクシングも必要になってくるのでしょう。だとすれば、ここでそういった姿を見ておきたいという希望も私にはあるのです。